国指定史跡ガイド 「観音塚古墳〈大阪府〉」の解説
かんのんづかこふん【観音塚古墳〈大阪府〉】
大阪府羽曳野(はびきの)市飛鳥にある古墳。鉢伏(はちぶせ)山から南に延びる尾根の東南斜面、標高98mに位置する。周囲には飛鳥千塚と呼ばれる小型円墳を中心とした古墳群が広がり、この古墳もそのなかの一つと推定される。周辺は畑などに変わり、多くの古墳が破壊されて消滅したが、かろうじて保存されている。墳丘は1辺が約12m、高さ約2.5mの円墳か方墳とされ、墳丘内には安山岩の切り石を精巧に組んだ横口式石槨(せっかく)がある。石槨部(193×92cm、高さ78cm)は石を刳(く)り抜いた石棺のような石の身と蓋からなり、南側小口に横口があく。その前にはモザイク状に石を組み合わせた前室(245×144cm、高さ112cm)があり、入り口には袖石をつけ、上に梁石を渡すとともに下に2段の階段状施設が設けられている。さらにその外側には長さ227cmの羨道(せんどう)が付けられた特異な石槨があることなどから、古墳文化の終焉を知る重要な遺跡として、1981年(昭和56)に国の史跡に指定された。また、石材の加工技術などから朝鮮半島との関係も考えられ、被葬者像については高級官説、渡来人説などがあり、定説はない。近畿日本鉄道南大阪線上ノ太子駅から徒歩約15分。