角膜実質炎(読み)かくまくじっしつえん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「角膜実質炎」の意味・わかりやすい解説

角膜実質炎
かくまくじっしつえん

角膜実質炎症をおこしたときの総称角膜潰瘍(かいよう)を伴わないのが特徴である。かつては、梅毒にかかっている母親から胎児に感染しておこる「先天梅毒」の一症状として、10歳前後に生じるものが多かった。現在は、ウイルス、とくにヘルペスウイルスの感染によるものが多くみられる。症状は、流涙を訴えたり、光を異常にまぶしく感じたり、疼痛(とうつう)が出現し、視力も低下する。結膜が充血し、角膜は混濁して周囲から血管が侵入してくる。治療は、原因によって異なるが、感染による場合は、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤などの投与を行う。副腎皮質ステロイド薬の投与は炎症をとる効果が強く、症状の軽減に役だつが、感染が十分にコントロールされていないと角膜炎を悪化させるだけでなく、緑内障白内障をおこすこともあるので、十分な注意が必要である。

[中島 章・村上 晶 2024年9月17日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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