化学辞典 第2版 「解離吸着」の解説
解離吸着
カイリキュウチャク
dissociative adsorption
分子が固体表面に吸着するとき,分子内結合が切断して遊離基または原子となって表面との間に化学結合をつくる場合をいう.ニッケル,白金表面の水素吸着や,鉄,タングステン表面での窒素吸着はその例である.また,きわめて清浄な遷移金属表面で炭化水素は解離して,水素あるいはメタンなどを放出し,表面炭化物を形成する.分子状吸着に比べて吸着エネルギーが大きいため,解離吸着はしばしば不可逆的となる.解離吸着を生じているか否かは,吸着等温線の圧依存性から推定されるほか,同位体を含む分子の混合物の吸着,脱離に伴う同位体交換の有無から実験的に判定される.解離吸着は固体表面で進行する触媒反応中の一つの過程となることが多い.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報