触腕(読み)ショクワン(その他表記)tentacle

翻訳|tentacle

改訂新版 世界大百科事典 「触腕」の意味・わかりやすい解説

触腕 (しょくわん)
tentacle

軟体動物頭足類中,十腕形類(イカ類)にみられる1対の腕で,他の4対の通常腕よりはなはだしく長く伸ばすことができる。コウイカ類では第3,第4腕の間にあるポケットにたたみこまれていて,捕食の時にすばやく伸ばされる。それ以外のイカ類ではふだんは縮められているが,ポケットにたたみこまれることはない。触腕は柄部stalkと掌部clubからなり,掌部には通常2~4列,種によっては8~16列あるいは20列以上もの吸盤があり,その角質環の歯の大きさや並び方は通常腕のそれと異なっている。また,吸盤のうち1~2列のものが鉤(かぎ)に変形している例もまれではない。一部の科または種においては幼時に触腕をもつが成長とともに失うものもある(ヤツデイカ,タコイカなど)。ユウレイイカなどでは触腕の柄部および掌部先端に発光器をもっていて,これを擬餌のように用いるものと思われる。なおコウモリダコにみられる触糸filamentはイカ類の触腕とは相同器官ではない。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「触腕」の意味・わかりやすい解説

触腕
しょくわん
tentacle

イカ類,すなわち軟体動物頭足綱の十腕形類がもつ 10本の腕のうち,ほかの8本より長い1対の腕。餌を捕えるのに使われる。先端部は広がり,その内面にのみ吸盤がある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む