頭足類(読み)とうそくるい

日本大百科全書(ニッポニカ)「頭足類」の解説

頭足類
とうそくるい

軟体動物門に属する1綱で、いわゆるイカタコ類をさす。頭足綱Cephalopodaの仲間の体は左右相称で、頭・・足の3部に分かれている。頭部には無脊椎(むせきつい)動物でもっとも発達した1対の単眼があり、前方に向かって鋭いくちばし様の顎板(がくばん)および歯舌のある口球がある。足部は口を囲んで環状に配置し、4対以上に分かれていて、吸盤があり、伸縮自在である。胴部は筋肉質の袋状で頭部の後ろにあり、肉質のひれをもつものがある。貝殻オウムガイ類のみが螺旋(らせん)形の外をもつが、他は外套(がいとう)の筋肉中に埋もれているか、退化している。内臓は袋状の外套膜に包まれ、消化管はU字形で、肛門(こうもん)は前向きに開く。直腸付近に墨汁嚢(のう)があるものがある。えらは2~4対で、えらの基部にはえら心臓があり、二鰓類(にさいるい)では本来の心臓とともに三つの心臓をもつことになる。生殖巣は体後部にあり異体、精子は精莢(せいきょう)に充填(じゅうてん)されて、交接時に雌に渡される。この機能を果たす特別な交接腕(または化茎腕)といい、種によって一定の形式をもつ。頭足類はすべて海産で、沿岸から深海までに分布し、匍匐(ほふく)あるいは遊泳・浮遊生活をしている。すべて肉食で、海洋の食物連鎖中では高次に位置する。最大のイカは胴長6メートル余となり、無脊椎動物では最大となる。

 化石アンモナイト(菊石(きくいし))は古生代デボン紀後期に現れ、非常に多種に分化したが、中生代白亜紀の終わりに絶滅した。現生する頭足類はおよそ650種で、頭足綱は次の3亜綱からなる。(1)アンモナイト亜綱 大形の螺旋形ないし直円錐(えんすい)形の殻をもち、すべて化石種である。(2)オウムガイ亜綱(四亜綱) 4種の現生種以外は化石種。殻は螺旋形の平巻きで、多室に分かれている。体は原始的構造をもち、腕は数十本の触手に分かれ吸盤はない。現生種のえらは2対である。(3)二鰓亜綱(鞘形亜綱(しょうけいあこう)) 現生するイカ類(5対の腕をもつので十腕形類ともいう)、タコ類(4対の腕をもつので八腕形類ともいう)の大部分をいう。殻は退化的、腕には吸盤または鉤(かぎ)があって4または5対、えらは1対である。

[奥谷喬司]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「頭足類」の解説

頭足類
とうそくるい
Cephalopoda

軟体動物門頭足綱の動物の総称で,イカタコオウムガイの類をいう。体は胴,頭,足の3部から成る。胴は一見頭のように見える部分で,表面は厚い肉質の外套膜でおおわれており,タコでは貝殻を欠くが,イカでは背側に甲と呼ばれる貝殻が埋るように残っており,オウムガイでは巻いた殻の内部に体を納めている。外套腔には1対 (イカ,タコ) または2対 (オウムガイ) の鰓がある。腕は,タコでは8本,イカではさらに1対の長い触腕があり,これらに吸盤がついている。しかしオウムガイでは小さい腕が多数あり,吸盤はない。頭は胴と足の間にあり,左右に大きな眼が1対ある。古生代カンブリア紀に出現し,現生種は世界に約 650種,日本に 150種が知られる。

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百科事典マイペディア「頭足類」の解説

頭足類【とうそくるい】

軟体動物のうち最も分化した体制をもつ一綱。タコ,イカ,オウムガイなどを含む。頭,胴,腕の3部からなり,頭部にはよく発達したカメラ眼をもつ。胴部は嚢状または円錐状の外套(がいとう)膜で包まれ,外套腔内には鰓(えら)や墨汁嚢をもつ。外套腔内の水を水管(漏斗(ろうと))から噴出させて移動する。腕(足)は8本か10本で,頭部と直接連絡する。雌雄異体で,卵生。雄が雌に精莢(せいきょう)を渡して受精。卵は卵嚢に入れて産み落とされるものが多い。すべて海産で肉食性。カンブリア紀後期から出現し,現生約650種,日本近海には200種がすむ。アンモナイトもこの仲間。

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精選版 日本国語大辞典「頭足類」の解説

とうそく‐るい【頭足類】

〘名〙 軟体動物門の綱の一つ。軟体動物中最も分化した体制をもち、イカ・タコ・オウムガイなどを含む。頭部・胴部と足部からなり、頭部は足部と胴部の中間にあり、発達した目がある。オウムガイでは口のまわりに数十本の脚が、イカ・タコでは八~一〇本の腕がある。胴の漏斗から外套腔内の水を噴射し、急速な後進運動をする。貝殻は通例甲として外套膜中にあるか、または欠如するが、オウムガイや化石種では軟体部を包み、多数の室からなる。雌雄異体。カンブリア紀以来化石が出ている。〔生物学語彙(1884)〕

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デジタル大辞泉「頭足類」の解説

とうそく‐るい【頭足類】

頭足綱の軟体動物の総称。体は頭・胴・腕に分かれ、腕は頭につく。数十本の腕と二対のえらをもつ四鰓しさい類(オウムガイ類)と、8または10本の腕と一対のえらをもつ二鰓類(イカ類・タコ類)とに分けられる。

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栄養・生化学辞典「頭足類」の解説

頭足類

 イカ綱をいう.軟体動物門の一綱.イカ,タコなどが属する.

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世界大百科事典 第2版「頭足類」の解説

とうそくるい【頭足類】

頭足綱Cephalopodaに属する軟体動物の総称。イカタコ類,アンモナイトオウムガイ類を含む。軟体動物中きわめて特異な1群で,他の軟体動物が内臓全体(内臓塊)を足の背部に背負っているを基本としているのに比べ,内臓塊は体後部に押しやられ,足は体の最前部に位置して頭に直接ついた形になっている。このため頭足類と呼ばれる。そのほか,軟体動物に特有の,トロコフォラ(担輪子)幼生やベリジャー(被面子)幼生期を通らず,直達発生をする。

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世界大百科事典内の頭足類の言及

【軟体動物】より

…世界に600~650種,日本に200種を産する。頭足類【波部 忠重】
[進化]
 軟体動物のうち石灰質の硬い貝殻を有する分類群は,化石によく保存されるので,系統が比較的よくたどられている。時代や古環境を推定するための示準化石,示相化石として役だつ種属も多い。…

※「頭足類」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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