言ず(読み)いわず

精選版 日本国語大辞典 「言ず」の意味・読み・例文・類語

いわ【言】 ず

  1. ( 上の句を受けて、下の句に対して連用修飾の働きをする )
  2. 問題にしないで。(…にも)かかわらず。
    1. (イ) 「と(も)いわず」の形。
      1. [初出の実例]「夜中あか月といはず御心に従へるものの」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕顔)
      2. 「人目なき山里ともいはず、心遣ひしたり」(出典:徒然草(1331頃)四四)
    2. (ロ) 「を(も)いわず」の形。
      1. [初出の実例]「貴賤を云(イハ)ず、親疎をわかず、人の大事を訪(とぶら)ひ」(出典源平盛衰記(14C前)二六)
  3. 言うまでもなく。もちろんのこと。言うに及ばず。
    1. [初出の実例]「斯くの如き上達部・殿上人はいはず」(出典:梁塵秘抄口伝集(12C後)一〇)
  4. いくつかの物事をあげて、そのうちのどれと限らずすべての意を表わす。
    1. [初出の実例]「奥の間、表座敷、玄関とも云わず、いっぱいの人で」(出典:龍舌蘭(1905)〈寺田寅彦〉)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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