朝日日本歴史人物事典 「証真」の解説
証真
鎌倉前期の天台宗の僧。駿河守平説定の子。宝地房と号す。隆慧に恵心流を,永弁に檀那流を,聖昭に密教を学び,研鑽に励む。天台座主慈円に協力して比叡山の諸儀式を整備し,荒廃していた学風を立て直した。建仁1(1201)年に権少僧都となり,承元1(1207)年12月に比叡山の初代総学頭に補される。同年秋には永万年中(1165~66)から40年以上かけた代表作『法華三大部私記』(30巻)を完成させるが,この間,源平の合戦も知らなかったという。天台教学の伝統的立場から本覚思想(衆生も本来,自然に悟っている者であるとする現実肯定思想)に対する批判もしている。<参考文献>佐藤哲英他「宝地房証真の協同研究」(『印度学仏教学研究』18巻2号,19巻2号)
(三橋正)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報