日本歴史地名大系 「評定所文書」の解説
評定所文書
ひようじようしよもんじよ
原本 東京大学法学部法制史資料室・国立公文書館
解説 首里王府の中枢機関である評定所(首里城北殿に所在)が保管していた行政文書。琉球処分の際に明治政府内務省が接収し、東京に運ばれた。内務省の倉庫に保管されていたが、関東大震災の火災により大部分を焼失。理由は不明だが、一部が東京大学法学部法制史資料室・警察庁資料室などで発見され、警察庁の分は国立公文書館に移管された。内務省は接収した文書を旧琉球藩評定所書類目録の形で残しており、東大・警察庁で確認された分はその約七パーセントに相当する。現存する一部は県教育委員会の「沖縄県史料」前近代で翻刻・出版されたが、全体については浦添市教育委員会が琉球王国評定所文書全一九巻の史料集として発行した。現存する文書の多くはペリー艦隊を含むアメリカやロシアなどの異国船来航関係、琉球・薩摩関係、漂着関係、王府業務関係、進貢船・接貢船関係などが主体となっており、年代的には一八―一九世紀が大半を占める。近世琉球の対外関係については「歴代宝案」、内部状況については系図家譜などのまとまった史料が知られるが、王府行政に関する史料群としては当文書が量的に最もまとまっている。
活字本 琉球王国評定所文書(一九八八―二〇〇二年)
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報