豊田館跡(読み)とよだたてあと

日本歴史地名大系 「豊田館跡」の解説

豊田館跡
とよだたてあと

[現在地名]江刺市岩谷堂 下苗代沢

平安時代末―鎌倉時代初期藤原清衡が居住した館跡。北上高地西端段丘に位置し、北上川沖積平野の餅田もちだ集落眼下に望む。「吾妻鏡」文治五年(一一八九)九月二三日条に、藤原清衡は継父武貞の死後、「伝領奥六郡伊沢、和賀、江刺、稗抜、志波、岩手、去康保年中、移江刺郡豊田館於岩井郡平泉、為宿館」とみえる。文中の康保は嘉保(一〇九四―九六)、あるいは康和(一〇九九―一一〇四)の誤りと考えられ、清衡は平泉に本拠を移す以前、当館に拠って奥六郡を支配していた。清衡は「奥州後三年記」によれば、わたり(亘理)権太夫経清の子で、経清が安倍貞任にくみして討たれた後、母親が清原武貞に再嫁し、武貞の死後、清原氏の遺領を継いだとされる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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