知恵蔵 「負熱膨張材料」の解説 負熱膨張材料 温度が上がると縮む材料。2005年に理化学研究所で発見された。生体物質や一部の高分子材料には見られるが、無機材料ではきわめてまれ。逆ペロブスカイト構造を持つ、マンガン窒化物中のX(亜鉛やガリウム)をゲルマニウムで置き換えて作られる。既に実用化されているタングステン酸ジルコニウムなどに比べ、負膨張率が数倍大きい上に、金属のように熱や電気伝導性が高く、機械的強度が大きい、等方性のため加熱・冷却を繰り返しても欠陥・歪みが生じにくいなど、実用上有利な様々な特性を備えている。組成制御で、熱膨張をしない材料を作ることも可能なので、温度による形状変化を極端に嫌う精密光学部品や各種精密デバイスをはじめ、精密切削加工にとっても理想的な材料になると期待されている。 (岡田益男 東北大学教授 / 2007年) 出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報 Sponserd by