貧しい人々の声(読み)まずしいひとびとのこえ(その他表記)Voices of the Poor

知恵蔵 「貧しい人々の声」の解説

貧しい人々の声

世界銀行が1992〜99年にかけて実施したインタビュー調査の報告書で、『私たちの声が聞こえますか?』『変化への叫び』『各地から』の3巻本として、1999〜2002年に出版された。総ページ数は1100ページに及ぶ。世界の58カ国、およそ6万人の絶対的貧困層の生の声を記録し、貧困問題を質的に分析している点が、従来の数量的分析と大きく異なる。「何が貧困なのか、などと聞かないで欲しい。貴方がいま目にしているもの、その全てが貧困なのだから」(ケニア男性)、「路上で出産すること」(インド・女性)、「食べるために金持ちから盗みを働くこと」(コロンビア・12歳の少年)などという回答は、貧困問題の多義性解決の困難性を静かに訴えている。報告書の第1巻が日本の大学生たちによって邦訳され、世界銀行東京事務所から出版された。

(室井義雄 専修大学教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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