あんた【貴方】
① 近世後期、上位者に用いた。最初は遊里で用いられ、のち一般化した。
※
洒落本・北廓鶏卵方(1794)「雪枝
(せっし)さん、
あんたはこねへだの
京町のしわくちゃをおききなせへやしたかへ」
② 現代、多く下位者に用いる。東京では卑俗な言い方であるが、関西では、
親愛の
気持を込めていう。
[
補注]明治以降、関西では対等以上の親愛な関係で使われ、「あんたはん」「
あんさん」などの
かたちもある。
き‐ほう ‥ハウ【貴方】
[1] 〘名〙
相手を敬って、その住む場所や住居をいう語。
※庭訓往来(1394‐1428頃)「春始御悦、向貴方先祝申候畢」
[2] 〘代名〙 対称。同等の相手に用いる
敬称。
男性が用いる。貴公。貴殿。
貴君。
※太平記(14C後)三六「旧好其の故も候へば、混(ひたす)ら貴方(キハウ)を憑申にて候」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
あ‐な‐た【貴=方】
[代]《「彼方」から》二人称の人代名詞。
1 対等または目下の者に対して、丁寧に、または親しみをこめていう。「貴方の考えを教えてください」
2 妻が夫に対して、軽い敬意や親しみをこめていう。「貴方、今日のお帰りは何時ですか」
[補説]現代語では敬意の程度は低く、学生が先生に、また若者が年配者に対して用いるのは好ましくない。「貴男」「貴女」と書くこともある。
[類語]お宅・汝・貴方様・あんた・君・おまえ・貴様・てめえ・おのれ・我・うぬ・そなた・お主・其方・そっち
き‐ほう〔‐ハウ〕【貴方】
[名]相手を敬って、その住所・住居をいう語。
[代]二人称の人代名詞。男性が同等の相手を敬っていう語。現在では、多く文書などで用いられる。貴君。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例