貧困緩和戦略(読み)ひんこんかんわせんりゃく(英語表記)Poverty Reduction Strategies

知恵蔵 「貧困緩和戦略」の解説

貧困緩和戦略

教育、保健・医療、農業など、各分野ごとに貧困の緩和撲滅焦点を定めた3カ年の包括的な社会・経済開発計画。1999年9月に、世界銀行とIMFによって、重債務貧困国(HIPC)に対する債務救済、国際開発協会(IDA : International Development Association)による融資、及びIMFによる貧困緩和成長融資の適用の判断材料として打ち出された。同戦略の基本原則として、(1)長期的な取り組みによる社会改革、(2)包括的発展の枠組み(CDF : Comprehensive Development Framework )と貧困に対する多面的な認識、(3)貧困緩和のための急速な経済成長と貧困層のより大きな参加、(4)貧困緩和の目標・戦略に関する当該国の主導性、(5)内外の諸機関との共同運営、(6)目に見える結果の重視、が挙げられている。2007年8月末現在、アフリカ諸国を中心に65カ国がPRSに関する報告書を作成している。この戦略は、多様な関係機関の参加によって開発計画が作成され、また、主に最貧国社会開発と、政府開発援助(ODA)の無償化を想定している点に特色があるが、債務救済や融資の条件とされている点は従来と同じである。

(室井義雄 専修大学教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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