政府開発援助(読み)せいふかいはつえんじょ(英語表記)Official Development Assistance; ODA

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

政府開発援助
せいふかいはつえんじょ
Official Development Assistance; ODA

政府ベースの経済協力の一つで,特に先進国政府が発展途上国の経済開発などを促進するため財政資金を使って供与する援助。 (1) 2国間での直接援助と,(2) 国際機関を通じての多国間援助に分けられる。直接援助のうち贈与は相手国政府に返済義務を課さないもので,無償資金供与,賠償,技術協力から成る。借款は新たに資金を貸付ける直接借款と債務累積により返済困難に陥っている国を救うための債務救済 (再融資,債権繰延べ) がある。多角的援助は国際復興開発銀行国際開発協会アジア開発銀行などへの拠出を通じて資金を供与するもの。

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知恵蔵の解説

政府開発援助

発展途上国の開発支援を目的として、政府資金で行われる資金援助・技術協力。Official Development Assistance の略。対象は、平和構築、貧困解消、医療・衛生改善、教育・人材育成、法整備など多方面に及ぶ。支援の流れは、対象国への「直接援助」と国連の諸機関や国際金融機関などを通しての「多国間援助」の二つに分けられ、形態は「無償資金協力(贈与)」「有償資金協力(貸与)」「技術協力」の三つに分けられる。
これまで日本は、1954年のビルマ(現ミャンマー)を皮切りに、主に東・東南アジア地域を対象に60年以上にわたり約5000億ドルを支援してきた。当初は、第二次世界大戦の賠償・準賠償の名目で行われ、戦後補償としての意味合いが強かった。日本も戦後の6年間、米国からガリオア資金、エロア資金として総額18億ドルの資金援助を受けている。その後、日本のODA拠出額は経済成長と共に右肩上がりに増え、80年代末には世界1位になった。
しかし、無償資金協力が中心の欧米と異なり、日本のODAは有償資金協力が大部分を占め、しかも円借款を前提としたインフラ整備に重きを置いていたため、日本企業のひも付き支援という批判の声も出た。こうした点を受け、政府はアフリカや中南米への支援を増やすと共に、専門家派遣や研修員の受け入れを含むソフト面の技術協力を強化するなど質的な転換も図った。2003年には、国際協力機構(JICA)を独立行政法人として発足させ、「現場主義」「人間の安全保障」「効果・効率性、迅速性」の3点を強化した。JICAを統括する外務省は「平成30年度開発協力重点方針」で、国際社会の平和と安定、持続可能な開発目標(SDGs)の達成、人間の安全保障(テロ支援対策)などを前面に打ち出している。ただし、拠出額は1990年代後半をピークに減少しており、2016年は米国、ドイツ、英国に次ぐ4位に後退している。
日本は中国にも、日中平和条約の発効翌年の1979年から約40年間にわたり、円借款を含めて総額約3兆6500億円の援助を行ってきた。2018年の案件を最後に終了したが、習近平(シー・チンピン)国家主席は中国の経済成長を支えた巨額の支援を高く評価し、中国の国内メディアも日本の貢献を積極的に報じた。

(大迫秀樹 フリー編集者 / 2018年)

政府開発援助

開発途上国の経済・社会の発展や福祉の向上を支援するために、政府が行う資金や技術面での援助。日本の援助は、(1)最近では中南米、アフリカ、旧共産圏向けも活発化してきたが、主に中国やインドネシアなどのアジア向けが中心、(2)従来は建設投資などいわゆる「箱物」中心だったが、経済政策支援などソフト面での支援も取り入れだした、(3)借款が多く、グラント・エレメント(援助総額に占める贈与比率)が低い、(4)国の経済規模(国民所得)に比べ援助額が低い、といった点が特徴。日本は世界最大の援助大国だったが、国内の財政事情悪化で援助予算(ドルベース)は逓減、2001年には米国に抜かれた。そこで、国力にふさわしい責任を果たし、国際社会の信頼を得るために新たな課題に取り組むとし、03年8月に「新ODA大綱」を決めた。重点課題は、(1)テロなどの不安定要因を取り除くためにも貧困を削減、(2)貿易・投資・人的交流を活性化し、途上国の持続的成長を支援、(3)温暖化やテロ、国際組織犯罪などの地球規模の問題への取り組み、(4)平和の構築。なお、政府一般会計ODA予算(円ベース)は1997年度をピークに漸減。2006年度以降の5年間も年2〜4%の削減方針(「骨太の方針2006」)。

(本庄真 大和総研監査役 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

大辞林 第三版の解説

せいふかいはつえんじょ【政府開発援助】

発展途上国または国際機関へ、先進国の政府機関からなされる援助。贈与・借款・技術援助などの形をとる。 ODA 。

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精選版 日本国語大辞典の解説

せいふ‐かいはつえんじょ ‥カイハツヱンジョ【政府開発援助】

〘名〙 (official development assistance の訳語) 政府機関による発展途上国または国際開発金融機関(世界銀行など)への援助。贈与、借款、技術援助などから成るが、借款については一定の条件より緩やかなもののみを含む。略称ODA。

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世界大百科事典内の政府開発援助の言及

【ODA】より

…official development assistanceの略語で,日本では〈政府開発援助〉と呼ばれている。ODAという言葉が登場したのは1969年のことで,OECD(経済協力開発機構)の下部機関として1961年に設置された開発援助委員会(DAC)による定義においてである。…

【経済協力】より

… 一方,援助を受け入れる発展途上国側は,UNCTAD(アンクタツド)(国連貿易開発会議)の場を通じて,いろいろな要求を行っている。当初は,(1)一次産品の販路と価格の安定,(2)工業製品輸出に対する特恵関税の付与,(3)政府開発援助official development assistance(略称ODA。OECDの定義によれば,先進国の公的機関による援助で,グラント・エレメント(〈借款〉の項参照)25%以上のもの)の質量の拡充という三大基調要求に限られていたが,70年代以降,こうした要求に加え,新国際経済秩序(NIEO(ニエオ))の樹立,国際通貨制度改革討議への参画,オイル・マネーの還流メカニズムの確立など,多岐にわたる事項を要求している。…

【南北問題】より

…GNP1%は事実上,1960~70年代の先進国側からの公私の資金の流れの大きさに対応した。しかし政府開発援助official development assistance(ODA)をGNPの0.7%とするという要求は難しく,90年代の現在に至るまでDAC(ダツク)(Development Assistance Committee,開発援助委員会)諸国のODAはGNP比0.33%程度と半分の水準にとどまっている。
[1970年代の南北問題]
 1960年代を通じて南の三大要求はある程度進展したが,しかし南北の格差はむしろ広がり,世界貿易に占める南のシェアも低下し,南の国々の経済困難は深まった。…

※「政府開発援助」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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