化学辞典 第2版 「貧溶媒」の解説
貧溶媒
ヒンヨウバイ
poor solvent
ある物質-溶媒系で溶質-溶媒間の相互作用(自由エネルギー)が溶質-溶質間,溶媒-溶媒間の相互作用の算術平均より小さいとき,この溶媒をこの溶質に対して貧溶媒であるという.熱力学的には吸熱溶媒である.ここで溶質というのは,低分子では溶質分子そのもの,高分子ではセグメントになる.高分子の場合,貧溶媒中ではセグメント相互が接近しようとして,分子が広がるのを抑制しようとする.これと排除体積効果が逆の効果をもつため,高分子溶液論ではとくに重要である.ある特定の温度で,排除体積効果による広がりとこの抑制効果とが補償しあって,ちょうどガウス鎖で期待される広がりと等しくなる.この温度をθ温度,この温度にある溶媒をθ溶媒という.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報