貫名郷(読み)ぬきなごう

日本歴史地名大系 「貫名郷」の解説

貫名郷
ぬきなごう

中世の郷地名。貫奈とも記される。現袋井市広岡ひろおかの上貫名・下貫名辺りに比定される。貞治元年(一三六二)頃とみられる一〇月一九日の西園寺実俊施行状(熊野速玉神社文書)に添付された遠江国国衙領目録に「貫名郷 六十九石五升三合」とみえる。現福井県小浜おばま中村なかむら区有の大般若経には首・尾・上欄などに「貫名郷気比宮」の墨書があり、このうちの多くは承元二年(一二〇八)・同三年の書写で、願主大檀越は「藤原行直」であった。藤原行直は井伊氏一族の貫名政直の子行直のことであろう(「井伊系図」龍潭寺蔵)。建治元年(一二七五)五月の六条八幡宮造営注文(国立歴史民俗博物館蔵)に六条八幡宮(現若宮八幡宮社、京都市東山区)の再建費用を配分された御家人として「貫名左衛門入道跡、五貫」とある。


貫名郷
ぬきなごう

和名抄」諸本にみえる郷名。高山寺本に「沼岐奈」、東急本に「奴木奈」の訓がある。「遠江国風土記伝」は山名やまな郡上貫名・下貫名(現袋井市広岡付近)に比定。「袋井市史」もこの説を採るが、「大日本地名辞書」は長下郡の郷が磐田郡飯宝おお(比定地は現磐田市下大之郷など)より東にあるのは道理なしとし、掛塚かけつか袖浦そでうら(現竜洋町掛塚周辺)を候補地とする。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

今日のキーワード

発見学習

発見という行為の習得を目指す学習。または,発見という行為を通じて学習内容を習得することを目指す学習。発見学習への着想は多くの教育理論に認められるが,一般には,ジェローム・S.ブルーナーが『教育の過程』...

発見学習の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android