富士山本宮浅間大社(読み)フジサンホングウセンゲンタイシャ

デジタル大辞泉 「富士山本宮浅間大社」の意味・読み・例文・類語

ふじさんほんぐう‐せんげんたいしゃ【富士山本宮浅間大社】

浅間神社せんげんじんじゃの正称。

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精選版 日本国語大辞典 「富士山本宮浅間大社」の意味・読み・例文・類語

ふじさんほんぐう‐せんげんたいしゃ【富士山本宮浅間大社】

  1. 静岡県富士宮市宮町にある神社。全国一三〇〇余の浅間神社の総本社。旧官幣大社。祭神は木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)ほか二柱。垂仁天皇三年富士山のふもとに創祀、のち日本武尊(やまとたけるのみこと)が山上に奉斎したと伝えられる。大同元年(八〇六坂上田村麻呂が勅により現在地に遷座。上古の山岳信仰を継承、富士山を神体とする。社殿は二階式で浅間造(せんげんづくり)と呼ばれる。駿河国一の宮。浅間(せんげん)神社。

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日本歴史地名大系 「富士山本宮浅間大社」の解説

富士山本宮浅間大社
ふじさんほんぐうせんげんたいしや

[現在地名]富士宮市宮町

潤井うるい川中流左岸に鎮座する。祭神は木花開耶姫命。旧官幣大社。「延喜式」神名帳の駿河国富士郡の名神大社浅間あさま神社に比定される。駿河国一宮。単に浅間神社・浅間宮というが、各地の同名社と区別するため、富士浅間宮・大宮おおみや浅間宮とも記されてきた。富士山を御神体として祀り山頂に奥宮がある。古代以来、各地の浅間神社の総本社として富士山信仰の中心であった。

〔草創〕

富士山そのものを神とみる古代信仰によって祀られたとみられ、創建年代は未詳。「富士本宮浅間社記」によれば、初め富士山の山裾に、次いで山宮やまみやに祀られたが、大同元年(八〇六)に坂上田村麻呂が大宮(現在地)に社殿を造営したという。富士山の神は浅間神(浅間名神)とされ、のち山の神を女神とみる信仰により火の山の女神は木花開耶姫(火中の産室で無事出産した)とされた。「文徳実録」によれば、仁寿三年(八五三)七月五日、「駿河国浅間神」は名神に列し、同月一三日には浅間大神は従三位に叙された。貞観元年(八五九)一月二七日には同神は正三位に昇叙されている(三代実録)。同六年五月に富士山が噴火し、大きな被害が出たが、これは浅間名神(当社)の祝・禰宜たちの怠慢によるとされ、別に甲斐国八代やつしろ郡に浅間神を祀る浅間神社が創建された(同書七月一七日・八月五日条など)。さらに延喜元年(九〇一)には当社から勧請して富士新ふじしん(現静岡市浅間神社)が建立されたという(前掲富士本宮浅間社記)。歴代の駿河守が着任後参拝したようで、天元二年(九七九)駿河守として着任した藤原兼盛は社前の湧玉わくたま池・御手洗みたらし川を「つかふへきかすにおとらんあさまなるみたらし川のそこにわく玉」と詠じている(宮内庁書陵部本兼盛集)。久安五年(一一四九)四月富士山頂に大日だいにち寺を建立した末代(富士上人)は大般若経書写勧進のため上洛し(「本朝世紀」同月一六日条)、勧進に応じた鳥羽法皇らによって書写された如法経・大般若経の供養が五月一三日に行われ、経典を下賜された末代は富士山に埋納するため退出したという(同書同日条)。以降、浅間神は仏教と習合して、神名を富士浅間大菩薩といい、本地仏は大日如来とされた。また富士権現(詞林采葉抄)、富士浅間大権現(和漢三才図会)などとも称された。

〔中世〕

文治二年(一一八六)六月九日、源頼朝は御領(皇室領)である「富士領」の年貢を早く進済するよう命じられている(吾妻鏡)。富士領は富士神領とも記され、当社および神領のことで、八条院領であったが、治承三年(一一七九)駿河国が平宗盛の知行国となると平家領とされていたらしく、平家滅亡後同院に還付され、北条時政が地頭として支配していたようである(同書文治四年六月四日条)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「富士山本宮浅間大社」の意味・わかりやすい解説

富士山本宮浅間大社
ふじさんほんぐうせんげんたいしゃ

静岡県富士宮(ふじのみや)市宮町に鎮座。富士山頂上に奥宮が鎮座。壮麗な富士山を神体として木花之佐久夜毘売命(このはなのさくやひめのみこと)を祀(まつ)る。全国1300余の浅間(あさま)神社の総本社。社伝で、孝霊(こうれい)天皇のとき富士山が噴火し国中が荒れたので、垂仁(すいにん)天皇のときになり山霊を鎮祭したのが創建という。延喜(えんぎ)の制で名神(みょうじん)大社、のち駿河(するが)国一宮(いちのみや)、明治の制で官幣大社。1982年(昭和57)3月、それまでの富士山本宮浅間神社の名称を現在の大社に変更した。2013年(平成25)には、富士山域と富士山本宮浅間大社を含めた周辺の神社、富士五湖、忍野八海(おしのはっかい)等の構成資産が「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」として世界文化遺産リストに登録された。例祭11月4日。

[鎌田純一]


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世界大百科事典(旧版)内の富士山本宮浅間大社の言及

【浅間神社】より

…静岡県富士宮市宮町に鎮座。現在正式には富士山本宮浅間(あさま)大社という。浅間大神(あさまのおおかみ),またの名木花之佐久夜毘売(このはなのさくやびめ)命をまつる。…

※「富士山本宮浅間大社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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