改訂新版 世界大百科事典 「買掛債務」の意味・わかりやすい解説
買掛債務 (かいかけさいむ)
accounts payable
企業が主たる経営活動に必要な商品や原材料などの財貨または用役(サービス)を仕入先から信用取引によって購入することから生じる未払金。売掛債権に対する語。企業にとっては短期調達資金の意味がある。その仕入取引の際に,企業が仕入先に対して約束手形を振り出すか,為替手形を引き受けるかした場合には,その未払金は企業会計上,支払手形勘定で処理される。しかし,その未払金が単に帳簿上の債務(買掛金)として記録されるにとどまる場合には,それは買掛金勘定(および仕入先元帳における人名別勘定)で会計処理される。支払手形としての買掛債務については支払期日がはっきり定められているのに対して,買掛金としての買掛債務については支払期日が特定されていない,という違いがある。しかしながら,買掛債務は,いずれにせよ仕入先との間で継続的かつ反復的に生ずる債務であるので,その支払期日は通常,比較的短期間とならざるをえず,貸借対照表上,流動負債の代表的な項目として取り扱われている。
→負債
執筆者:杉本 典之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報