約束手形(読み)ヤクソクテガタ

デジタル大辞泉 「約束手形」の意味・読み・例文・類語

やくそく‐てがた【約束手形】

振出人が、受取人またはその指図人もしくは手形所持人に対し、一定期日に一定の金額を支払うことを約束する手形約手やくて。→為替手形

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共同通信ニュース用語解説 「約束手形」の解説

約束手形

現金に代わる企業間の決済手段。取引の発注者が自分の企業名や金額を記載した手形を受注者に渡し、支払期日までに銀行口座に入金する。受注者が期日に、銀行で手形と引き換えに代金を得る仕組み。発注者が期限内に銀行口座に現金を用意できず、支払いが滞ることを「不渡り」という。こうした不渡りを6カ月以内に2回出すと、銀行取引停止処分を受ける。

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精選版 日本国語大辞典 「約束手形」の意味・読み・例文・類語

やくそく‐てがた【約束手形】

  1. 〘 名詞 〙 振出人が名宛人に対し、一定の金額を一定の期日・場所で支払うことを約束する手形。振出人がはじめから債務者となるので為替手形のような引受はない。約手。〔仏和法律字彙(1886)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「約束手形」の意味・わかりやすい解説

約束手形 (やくそくてがた)

振出人みずからが受取人またはその指図人に対して一定金額(手形金額)の支払を約束した証券為替手形とともに手形の一種であるが,為替手形が第三者への支払委託の形式をとるのに対して,約束手形はみずから支払を約束する形式をとる点で異なっている。約束手形の振出人は,手形の発行者であるとともに,手形金額支払の主たる債務者でもある。このため,支払人の存在が不要で,引受けや,引受拒絶に基づく遡求の制度がない。

 日本の国内で流通している手形の大部分は約束手形である。おもに代金後払取引(信用取引)での代金支払および信用の用具として利用されている。たとえば,商品の買主Aは,売買代金を手形金額,代金支払日を満期,売主Bを受取人,とする約束手形を振り出す。売主Bは,この場合,手形を満期まで所持して取り立てるという方法と,満期前に銀行Cに裏書譲渡する(手形割引を受ける)か担保として貸付け(商業手形担保貸付け)を受けるという方法がある。前者の場合,銀行Cは満期にAから手形金額を取り立てることになる。後者の場合,Bは満期(代金支払日)前に,ほぼ売買対価にあたる額を入手することができる。このほか,金銭貸付けの際に借用証書の代りとして利用される(手形貸付け)ことも多い。約束手形は,為替手形のように送金・取立ての用具として利用されることは,ほとんどない。なお,約束手形の法律関係につき,くわしくは〈手形〉の項を参照されたい。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「約束手形」の意味・わかりやすい解説

約束手形
やくそくてがた
promissory note

振出人が主たる債務者として、受取人その他手形の正当な所持人に対し、一定期日に一定金額を支払うことを約束する手形。振出人が支払人に対し、一定金額の支払委託をする為替(かわせ)手形・小切手とは本質的に異なる。しかし、有価証券、設権証券、流通証券(指図(さしず)証券)、要式証券、無因証券(不要因証券)、文言証券、呈示証券、受戻証券などの点では為替手形・小切手と同様である。為替手形では、振出人は単なる償還義務者にすぎず、引受人が手形上の主たる義務者であるのに対し、約束手形では振出人が手形上の主たる義務者であり、振出人が手形上の絶対的な支払義務者となる。

 約束手形は一般に、代金後払取引(信用取引)での代金支払いの方法として利用されている。たとえば、買い手Aが売り手Bから商品を仕入れるに際して、代金支払いを商品の転売代金の入金により行いたい場合に、Bの承諾を得て、その金額について予定転売時期を満期に、Aの取引銀行を支払場所にして、B宛(あて)に振り出される。この場合、Bは、約束手形を取引銀行で割り引くことにより満期前に代金を回収するか、満期まで待って手形金の支払いを受けるかすることになる。

[太田和男]

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百科事典マイペディア 「約束手形」の意味・わかりやすい解説

約束手形【やくそくてがた】

振出人が自己を主たる債務者として手形金額の支払を約束する形式の手形為替手形の振出人が第三者に支払を委託するのに比べて大きく相違する。しかし振出人は為替手形の引受人と同様に手形の主たる支払義務者である。実際上,為替手形よりも広く利用されている。→手形貸付け
→関連項目コマーシャル・ペーパー農業手形

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「約束手形」の意味・わかりやすい解説

約束手形
やくそくてがた
promissory note

振出人がその相手方である受取人または,その指図人に対し,一定の金額の支払いを約束する手形。為替手形が支払人にあてて一定金額の支払いを委託する証券 (支払委託証券) であるのに対して,約束手形は一定の金額の支払いを約束する証券 (支払約束証券) である点が異なる。沿革的には為替手形と同じく,ヨーロッパにおいて中世以降用いられ,銀行制度の発達とともに一般化した。経済的には,通常の金銭消費貸借において,借主が貸主に対して,いわば消費貸借証書の代用 (貸付手形) として利用し,あるいは売買代金の支払いの方法として用いられ (商業手形) ,これにより買主は代金支払期日まで自己の信用を利用できるし,また売主は手形割引によってただちに売買代金を取得できる。

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知恵蔵mini 「約束手形」の解説

約束手形

企業間の取引で、手形の振出人(支払者)が、受取人に対して代金の後払いを約束する証書のこと。受取人は手形に記された期日に金融機関で手形を現金化することができるが、この期日に振出人の口座に残金がなければ不渡りとなる。一般的に受取人が現金を受け取るまでの期間が長く、中小企業にとって資金繰りの負担が重いことなどから、政府は産業界に対し、2026年をめどに利用の廃止を求める方針を示した。

(2020-2-25)

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世界大百科事典(旧版)内の約束手形の言及

【手形】より

…現在の手形制度は,後述にあるように中世におけるイタリアおよびその他の地中海沿岸地方の諸都市の両替商が発行した手形にその起源があるとされているが,日本でもすでに鎌倉時代には一種の証書が存在し,送金の用に供されていた。現在の手形には,振出人がみずから自己の債務支払を約束する約束手形と,振出人が支払人にあてて支払を委託する為替手形の2種類がある。小切手が金銭の代りをなすものとしてもっぱら支払手段としての機能のみを有するのに対して,手形は信用取引の円滑化という,より広範な経済的機能を果たしている。…

※「約束手形」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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