貸借対照表上、貸方の負債の部に記載される項目。具体的には、比較的短期間のうちに弁済しなければならない債務、もしくは比較的短期間のうちに使用される引当金、および繰り延べられた収益が含まれる。固定負債に対する概念である。流動負債には、(1)企業の主目的たる営業取引によって生じた債務、(2)(1)以外の原因によって生じた債務で、1年以内に支払期限が到来するもの、(3)引当金のうち、1年以内に使用される見込みのもの、(4)前払費用および前受収益がある。
負債を流動負債と固定負債に分類する考え方は、企業が主として銀行から資金を調達していた時代に、銀行が貸借対照表により企業の支払能力を判断したことの名残(なごり)である。しかし、今日においても実務上は流動・固定による分類が行われている。なお、分類基準には、主たる基準として営業循環過程基準と、それを補足する1年基準がある。
[万代勝信]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式公開支援専門会社(株)イーコンサルタント株式公開用語辞典について 情報
…企業の資金面での流動性を表す包括的な概念で,流動資産全体を総(gross)運転資本といい,流動資産から流動負債を引いた差額を正味(net)運転資本(純運転資本)という。通常の企業活動が続く場合,流動資産は1年以内に現金収入となる資産であり,流動負債は1年以内に現金で支出される債務である。…
…今日,社債と株式とがそれぞれ多様化し,両者がきわめて接近してきたり,あるいは両者の性格を併せもつ転換社債が普及してきたことなどに象徴されているように,負債と資本との境界線は必ずしも明確ではなくなってきた。したがって,企業の資金管理の観点からいえば,法的債務とそれ以外との区別よりもむしろ,長期的に調達しかつ運用しうる資金であるか否かを判別するための短期調達資金(流動負債)とそれ以外の資金(長期借入金や社債などの固定負債と,純資産額としての各種の資本との合計額)との区別が最も重要である。負債の分類は,今日では種々の観点から行われるが,資金の調達源泉のちがいと支払時期の長短とに基づく分類が基本になることはいうまでもない。…
※「流動負債」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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