日本大百科全書(ニッポニカ) 「貸出限度額制度」の意味・わかりやすい解説
貸出限度額制度
かしだしげんどがくせいど
日本銀行が1962年(昭和37)11月に採用した新金融調節方式の一環として、とくに借入依存度の高い都市銀行に対して貸出金の限度額を設けた制度。この限度額を超える公定歩合による日銀借入れは原則として認めず、もし銀行がこの限度額を超えて日銀借入れに依存するときには、公定歩合の年4%(1969年8月までは日歩1銭)高という特別高率が課せられることになった。この制度は、日銀貸出金の累増、つまり銀行のオーバーローン状態を抑制し、金融正常化を図ることを意図したものである。しかし近年、日本銀行は日銀貸出し以外のオペレーションによる金融調整を活発に実施してきたため、銀行にとって日銀貸出しに依存する必要性が著しく低下してきた。1996年(平成8)1月、日銀はこの貸出限度額制度を廃止した。
[石田定夫]