日本大百科全書(ニッポニカ) 「オーバーローン」の意味・わかりやすい解説
オーバーローン
おーばーろーん
over-loan
絶対的資金不足の高度成長時代に典型的にみられた現象であり、民間金融機関のうち、とりわけ都市銀行が資本金と預金残高の合計を超えて貸付け、その不足分を恒常的に日本銀行からの借入れに依存すること。企業の旺盛(おうせい)な資金需要によるオーバーボローイングと人為的低金利政策が強力に推進された結果生じた。相対取引型間接金融の圧倒的優位、オーバーボローイング、資金偏在と並んで、高度成長時代の日本金融構造を特徴づけた。企業のオーバーボローイングを背景に、経営の健全性が損なわれて安易な日本銀行借入れと貸付態度が大幅な景気変動やインフレーションの原因になったともいわれている。
1980年代以降、資金余剰の定着、大企業の銀行離れ、資金調達の多様化の進行、新金融商品の登場、金融市場の整備・創設、金融機関間の競争の激化と経営効率の向上の要請などにより徐々に薄れ、現在では解消されている。
[金子邦彦]