日本大百科全書(ニッポニカ) 「資源カルテル」の意味・わかりやすい解説
資源カルテル
しげんかるてる
cartel on resources
特定の資源の生産、価格形成および販売を規制して、共通の利益を確保するために、当該資源の生産国によって結成された生産国同盟や輸出国同盟のことをいう。その先駆となったのは、1960年に石油メジャーに対抗するために結成された石油輸出国機構(OPEC(オペック))であり、さらには68年にアラブ産油国によって結成されたアラブ石油輸出国機構(OAPEC(オアペック))であった。
1973年の第一次石油危機以降、OPECの成功と、おりからの資源ナショナリズムの高まりに刺激されて、資源カルテル結成への動きは活発化した。上記のOPECとOAPEC以外の主要な資源カルテルとしては、銅輸出国政府間協議会(CIPEC)、天然ゴム生産国連合(ANRPC)、ボーキサイト生産国機構(IBA)、バナナ輸出国機構(UPEB)、水銀生産国連合(IGMPC)、鉄鉱石輸出国連合(AIOEC)、タングステン生産国会議(PTA)、東南アジア木材生産者連合(SELPA)などがあげられる。
また、資源カルテルが成功し、強力な市場支配力を発揮しうるための要件としては、とくに、(1)埋蔵量および生産の集中度が高いこと、(2)需要の価格弾力性が低いこと、(3)生産国に共通の経済的・政治的利害関係があること、などが重要とされている。しかし、このような要件を満たす資源はきわめて少なく、成功を収めた資源カルテルには、OPECのほかIBAがあげられる程度である。
[入江成雄]