資産担保証券(読み)シサンタンポショウケン(英語表記)asset-backed securities

デジタル大辞泉 「資産担保証券」の意味・読み・例文・類語

しさんたんぽ‐しょうけん【資産担保証券】

不動産債券などの資産を裏付けとして発行される証券総称企業特定目的会社SPC)に、住宅ローン・自動車ローン・リース料・企業向け貸付債券や商業用不動産といった特定の資産を譲渡。SPCが、その特定資産の信用力やキャッシュフローを裏付けとして、債券やコマーシャルペーパーを発行し、投資家に売却する。アセットバック証券ABS(asset-backed securities)。
[補説]資産担保証券のうち、社債や企業向けの貸付債権を担保とするものを債務担保証券CDO)と呼ぶ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「資産担保証券」の意味・わかりやすい解説

資産担保証券
しさんたんぽしょうけん
asset-backed securities

企業のもつ特定資産(自動車ローン、リース債権など)の価値やキャッシュ・フロー(現金の収支)を裏付けとして発行される社債またはCP(コマーシャルペーパー)のことで、ABSと略称される。また社債はAB社債、CPはABCPといわれる。資金調達をしようとする企業は、その特定資産を特別目的会社(SPC)に売却し、SPCが発行者となって社債またはCPを発行する。この場合、その特定資産はオフバランス(貸借対照表に計上されないもの)となる。発行されたABSは、その企業の収益力全般ではなく、このオフバランスとなった特定資産を裏付けとしているので、ABSの格付けもその特定資産の信用度の格付けとなり、企業本体より格付けの高いことが多く、そのため企業にとって有利な調達手段である。アメリカでは盛んに発行されているが、日本では、1996年(平成8)4月にようやくABS発行のための法的整備ができ、同年9月にオリコの自動車ローンを裏付けとするABS第一号300億円が、SPCオリコ・アセットファンデング・ジャパンにより発行された。その後、法的整備は一段と進み、発行は順調な拡大を続けている。

後藤 猛]

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知恵蔵 「資産担保証券」の解説

資産担保証券

企業が保有する債権や不動産などの資産を本体から分離し、その資産から生じるキャッシュフローを原資として発行される証券。証券化商品の代表的な例。企業は資産の流動化が可能となり、投資家は企業の信用力とは無関係に、対象資産の信用力に対して投資することが可能となる。売掛債権、リース債権、自動車ローンなど、基本的にキャッシュフローを生み出す債権であれば資産担保証券を組成することが可能。

(熊井泰明 証券アナリスト / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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