賢宝(読み)げんぽう

朝日日本歴史人物事典 「賢宝」の解説

賢宝

没年:応永5.6.30(1398.8.12)
生年正慶2/元弘3(1333)
南北朝時代真言宗の僧。東寺の密教哲学研究を完成させた逸材。東寺の杲宝のもとで出家し,延文4/正平14(1359)年10月,伝法灌頂を受けた。その後は,杲宝および杲宝の師頼宝が未完のまま残した密教哲学の研究に邁進。生涯をかけてこれを完成に導き,政治の醍醐寺に対して,教学の東寺とも称すべき一時代を築いた。希代の学僧といわれ,頼宝,杲宝のあとを引き継いで完成に43年間を費やした『大日経疏演奥鈔』は,現在でも『大日経疏』研究の指針となるほど評価が高い。死の直前まで,本書校閲余念がなかったと伝えられる。著書100部以上。弟子に宗海,仁重など。<参考文献>櫛田良洪『続真言密教成立過程の研究』,橋本初子「杲宝と賢宝」(『中世寺院史の研究』下)

(正木晃)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「賢宝」の解説

賢宝 げんぽう

1333-1398 南北朝時代の僧。
正慶(しょうきょう)2=元弘(げんこう)3年生まれ。真言宗。東寺の杲宝(ごうほう)に密教をまなび,延文4=正平(しょうへい)14年灌頂(かんじょう)をうける。康応元=元中6年法印権大僧都(ごんのだいそうず)となる。杲宝,頼宝とともに東寺三宝といわれた。ふたりの未完の著作の仕事をひきつぎ,「大日経疏演奥鈔」をまとめた。応永5年6月30日死去。66歳。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の賢宝の言及

【東宝記】より

…仏宝,法宝,僧宝の3編8巻にわけ,東寺の歴史,堂塔,仏像,法具,聖教,法会,僧職について,文書・記録等を豊富に引用しつつ明らかにする。1352年(正平7∥文和1)杲宝が編した草稿本は6巻であったが,南北朝末期から室町初期にかけてその弟子賢宝が増補を加えた。草稿本・清書本12巻1冊が現存し,国宝に指定されている。…

※「賢宝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

ビャンビャン麺

小麦粉を練って作った生地を、幅3センチ程度に平たくのばし、切らずに長いままゆでた麺。形はきしめんに似る。中国陝西せんせい省の料理。多く、唐辛子などの香辛料が入ったたれと、熱した香味油をからめて食べる。...

ビャンビャン麺の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android