質入れ裏書(読み)しちいれうらがき(英語表記)Pfandindossament

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「質入れ裏書」の意味・わかりやすい解説

質入れ裏書
しちいれうらがき
Pfandindossament

債務担保として有価証券上の権利のうえに質権を設定する目的でその趣旨を付記してなす裏書。 (1) 手形小切手上のものとそれ以外の証券上のものがある。 (a) 手形小切手上のものは,裏書に「担保のため」「質入れのため」その他質権の設定を示す文言を付記することによって行われる (手形法 19条1項,77条1項1号) 。これにより,被裏書人は手形上の権利のうえに質権を取得し,被担保債権につき優先弁済を受けることができる。 (b) 質入れ証券の質入れ裏書は寄託物の質入れのためになされる。質入れ証券に第1の質入れ裏書をなすには,債権額,その利息および弁済期を記載することを要する (商法 606) 。 (2) 隠れたる質入れ裏書 手形について,質入れの目的をもって,形式上は通常の譲渡裏書をなすこと。手形関係においては,完全な譲渡裏書であり,質入れの目的をもってなされたことは,当事者間における手形外の関係にすぎない。この裏書では,隠れたる取立て委任裏書異なり,被裏書人は加害意思のないかぎり,原則として裏書人に対する抗弁をもって対抗されることはなく,また裏書人が破産した場合にも,当然別除権を有する (破産法 92) 。

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