贅壻(読み)ぜいせい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「贅壻」の意味・わかりやすい解説

贅壻
ぜいせい

中国、漢人社会の入(い)り壻(むこ)。漢人社会において、結婚により女性は生家を離れ、夫の生家へ移り住むのが原則であった。しかし、場合によっては、女性の生家の側が男を迎えて入り壻とする「招壻(しょうせい)」が行われることがあり、この入り壻を贅壻といった。贅壻となることは不名誉なこととされ、主として貧困な家庭の子弟のみがなった。通常の結婚に際しては、夫方から妻方へなにがしかの金銭聘財(へいざい))が支払われたが、貧困で聘財が払えない者の間では、結婚後の一定期間、妻方に居住し、妻方の親族のために労働してこれにかえることもあった。招壻によって入り壻をとった場合でも、父系血縁の原則に従ってその子供たちは夫方の姓に属することもあり、この点が日本の壻養子と異なる点である。実際、かつては単姓村落(村民すべてが単一の姓に属する村)だった村の中に贅壻が迎えられ、その子孫が永住し続けたために複数の姓が村内に居住するようになった場合も少なくない。

[瀬川昌久]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

普及版 字通 「贅壻」の読み・字形・画数・意味

【贅壻】ぜいしよ

入りむこ。聘財無く、妻の家に寄食する者。〔史記、秦始皇紀〕(始皇帝三十三年)(もろもろ)の嘗て逋(ほばう)(逃亡者)せしの人、贅壻・賈人を發して、陸梁嶺南)を略取す。

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