(読み)ゼイ

デジタル大辞泉 「贅」の意味・読み・例文・類語

ぜい【×贅】

ぜいたくなこと。おごり。「を極める」「を凝らしたつくり」
[類語]贅沢おごり奢侈驕奢おごる豪奢ごうしゃ豪勢華奢かしゃ驕侈きょうし

ふすべ【×贅】

こぶ、また、いぼ古名。〈和名抄
ほくろ。また、あざ
おとがひの右の方に、大きなる―あり」〈霊異記・下〉

ぜい【贅】[漢字項目]

[音]ゼイ(慣)
不必要なもの。むだ。「贅言贅沢贅肉
入りむこ。「贅婿
[名のり]さだ・つく

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「贅」の意味・読み・例文・類語

ぜい【贅】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 形動 ) 贅沢(ぜいたく)をすること。みえを張ること。おごり。また、かって。きまま。わがまま。
    1. [初出の実例]「此両人栄花をきはめ、世間の盛(ゼイ)をやめさせ」(出典浮世草子・好色一代男(1682)六)
    2. 「飯が白いの黒いのと贅(ゼイ)な事をいひながら、月々若干(いくら)郵便局に残りゆく今の身の上」(出典:猿枕(1890)〈尾崎紅葉〉二)
  3. 大きなことを言うこと。大言を吐くこと。また、大ぼら。
    1. [初出の実例]「惣じて此道にかかるものは、第一嘘つくことおほし。是を過とも贋(ゼイ)ともいふなり」(出典:浮世草子・好色破邪顕正(1687)上)

ふすべ【贅・黶】

  1. 〘 名詞 〙
  2. こぶ・いぼの古名。
    1. [初出の実例]「婢真枝足女 年廿八 右眉後上布須閇左鼻折黒子」(出典:早稲田大学図書館所蔵文書‐天平勝宝二年(750)九月五日・奴婢見来帳)
  3. ほくろ。また、あざ。
    1. [初出の実例]「の右の方に、大きなる黶(フスベ)有り。〈真福寺本訓釈 黶 不須閇〉」(出典:日本霊異記(810‐824)下)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「贅」の読み・字形・画数・意味


18画

[字音] ゼイ
[字訓] むだ・しちいれ

[説文解字]

[字形] 会意
正字はおそらく(せい)+貝。〔説文〕六下に「物を以て錢を質(か)る。敖(がう)貝に從う。敖なるは、ほ放のごとし。貝もて當(まさ)に復(ま)た之れを取るべきを謂ふ」(段注本)とする。一度質入れして、うけ出す意とするが、敖は遊傲の意であるから、その会意の字としがたい。字はもとに従う字であろう。は〔説文〕三下に「楚の人、吉凶卜問することを謂ひてと曰ふ」とし、「讀みて贅(ぜい)の(ごと)くす」とあって、贅と同音であるという。すなわち・贅は同声。贅はに従う字であろう。は卜問、その費を贅といい、無用のことに財を費やすを贅という。

[訓義]
1. むだ、よぶん、よけい。
2. いぼ、こぶ。
3. つぐ、つづく、かわり。
4. 入りむこ。
5. しちいれ、かた、かたのうけ出し。
6. 最と通じ、あつめる。

[古辞書の訓]
名義抄〕贅 アザ・ウム・アツム・ツキヌ・サダム・ススロ・ムサボル 〔字鏡集〕贅 ウム・ウルフ・ウフ・ナリフスベ・フスベ・ムサボル・サダム・ウカレヒト・エタリ・ツフリ・ツキヌ・アザ・ツム・モトム・ツヅル・アツム・ソゾロ・イボ・サガリフスベ・マリフスベ・ツブサ・モトモ・エタリ

[語系]
贅tjiuat、質tjietは声近く、贅を質の意に用いるのは、人を質(ち)(人質)とすることからこったかと思われる。代に、家の子は出でて贅し、三年贖(あがな)いもどさぬときは奴婢とされた。贅はもとtjiatに從う字で、は卜問。卜問のことに財を費やすことを贅といい、それが本義である。

[熟語]
贅衣・贅員贅虧贅議贅及・贅言・贅語・贅子贅辞贅聚贅壻・贅贅冗・贅説・贅・贅土・贅肉・贅入・贅物・贅文・贅弁贅疣・贅余・贅癰・贅瘤・贅累・贅論・贅話
[下接語]
贅・出贅・附贅・贅・疣贅・瘤贅

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、和歌山県串本町の民間発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げる。同社は契約から打ち上げまでの期間で世界最短を目指すとし、将来的には...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android