起請田(読み)きしょうでん

改訂新版 世界大百科事典 「起請田」の意味・わかりやすい解説

起請田 (きしょうでん)

12世紀半ばの史料によると,諸田からの官物かんもつ)の徴収に当たっては,(1)検田を行わずに旧田文によって田数を確定する,(2)検田を行って田数を定める,(3)検田を行わず利田請文なるものを提出して田数を確定する,以上の3通りの方法があった。この(3)の方法で官物徴収の基準とされた田地を起請田と呼ぶ。承徳3年(1099)2月,因幡守平時範は任国に赴き,国司初任の諸行事を行ったが,3月2日,時範が国庁に出仕して初めて国務を行ったとき,国内諸郡司らが〈一把半利田請文〉を提出した。翌日,時範は宇倍(うべ)社(因幡国一宮)に参拝して奉幣し告文を読んだが,告文には利田請文のことが書かれていたという。これによると,利田請文は郡司等の官物収納責任者が国司に対して提出するもので,請文に記載された田数が一宮の神に対する起請によって確定され,官物徴収の基準田数とされたものと考えられる。こうして確定された利田は起請田といわれ,大田文に記載されて固定化していった。
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