起運(読み)きうん(その他表記)qǐ yùn

改訂新版 世界大百科事典 「起運」の意味・わかりやすい解説

起運 (きうん)
qǐ yùn

中国,明・清時代,地方で土地税として徴収された穀物あるいはその代替物を国都北京およびその他の指定地へ輸送すること,また輸送される物自体を指す。これに対して,税の中から地方行政に必要な額の穀物あるいは代替物を留めおくこと,またその物自体を存留(そんりゆう)と呼んだ。明代について,起運をその目的地によって大別すると,北京の京庫・京倉へ送る場合,南京に送る場合,北辺およびその他の地方の倉庫へ送る場合の3種に分けられる。清代においては,管轄の州県で徴収された土地税(地丁銭糧)を各省がその倉庫にまず集積したあと,存留する部分と他省の財源の不足を補助するための協餉(きようしよう)部分を除き,残るすべてを北京に起運した。この起運の内容はおもに漕米(そうまい)と餉銀(しようぎん)とに分けられる。前者は銀両で納入された土地税を用いて,北京で必要とされる米穀類を地方の責任で購入して送るものである。後者京餉(けいしよう)ともいい,銀両そのものを送った。中央政府の諸経費,宮廷費,および畿内や東北辺境地域の防衛費などに使用された。
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