蹴立てる(読み)ケタテル

デジタル大辞泉 「蹴立てる」の意味・読み・例文・類語

け‐た・てる【蹴立てる】

[動タ下一][文]けた・つ[タ下二]
けったり、勢いよく進んだりしてあとに土ぼこりや波を立たせる。「土煙を―・てて走り回る」
盛んにける。けって追い立てる。「敵に―・てられて敗走した」
憤然として、荒々しく振る舞い、その場を立つ。「席を―・てて退場する」

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精選版 日本国語大辞典 「蹴立てる」の意味・読み・例文・類語

け‐た・てる【蹴立】

  1. 〘 他動詞 タ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]けた・つ 〘 他動詞 タ行下二段活用 〙
  2. 蹴って、足に触れるものを立たせる。蹴って泥やほこりなどをたてる。
    1. [初出の実例]「馬車馳ちがひ、上下、騒り、京中塵灰にけたてられて」(出典:延慶本平家(1309‐10)三本)
  3. さかんに蹴る。蹴って追いたてる。
    1. [初出の実例]「二三人同じ枕に切倒せば、四方へばっとむらむら雀、鷲の蹴立(ケタツ)る如くにて、跡をも見せず逃げ失(う)せけり」(出典:浄瑠璃・栬狩剣本地(1714)一)
  4. 座席を蹴るようにして勢いよく立ち上がる。また、怒って荒々しくその場を立ち去る。
    1. [初出の実例]「ザシキヲ qetatçuru(ケタツル)」(出典:日葡辞書(1603‐04))
  5. 眉または爪などを荒々しくさかだてる。
    1. [初出の実例]「その形容(ありさま)はじめに似ず、柳眉を蹴立(ケタツ)る星眼尖く」(出典:読本・椿説弓張月(1807‐11)続)

蹴立てるの補助注記

「蹴立てて」が「蹴立って」の形をとることもある。「畳を蹴立(ケダ)って、唐紙に手を掛け様とした途端」(河内屋広津柳浪〉七)、「垂水はこの席を蹴立って行くことを考へた」(弔花豊田三郎〉)など。

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