日本大百科全書(ニッポニカ) 「車凡錫」の意味・わかりやすい解説
車凡錫
しゃぼんしゃく / チャボムソォク
(1924―2006)
韓国(大韓民国)の劇作家、演出家。全羅南道(ぜんらなんどう/チョルラナムド)木浦(もくほ/モクポ)の生まれ。延世大学英文科卒業。1955年『密造酒』でデビュー、『不毛地』『薔薇(ばら)の城』『代理人』ほか問題作を多数発表。写実劇を得意とし、代表作『山火事』(1962)は、朝鮮戦争中に自由を求めてパルチザンが山から女性だけが生き残った山村に脱出し、若いやもめと出会い、2人の間に展開される愛憎と実存を描いた傑作。戯曲集に『代理人』(1969)、『幻想旅行』(1975)、『鶴(つる)よ 愛よ』(1982)、『植民地の朝』(1992)、『痛哭(つうこく)の大地』(2000)、『玉丹』(2003)などがある。そのほかオペラ作品に『ノックトゥ将軍』『白鹿潭』(ともに2002)、ミュージカルに『さらば38度線』『処容』(ともに2002)、『玉丹よ』(2003)など約80編ある。論文に『韓国小劇場運動史』『日本の新派が韓国に与えた影響』(ともに1991)、『同時代の演劇意識』(1993)、『韓国演劇の人脈』(2000)などがある。韓国演劇協会理事長、劇団山河代表、清州大学教授、韓国文化芸術振興院院長、韓国芸術院会長、財団法人光州ビエンナーレ理事長などを歴任。韓国芸術院会員。韓国芸術院賞(1982)、韓国文学賞本賞(1988)、李海浪演劇賞(1993)、東朗演劇賞(1998)、ソウル市文化賞(1998)など受賞。
[金 両 基]