輪換放牧(読み)りんかんほうぼく(英語表記)rotational grazing

改訂新版 世界大百科事典 「輪換放牧」の意味・わかりやすい解説

輪換放牧 (りんかんほうぼく)
rotational grazing

放牧地をいくつかの牧区にわけ,それらを順番に輪換しながら放牧をくりかえす放牧方法。牧区の数や面積は,草生の状況や収養家畜数によって決まるが,1牧区に6日間前後放牧してから次の牧区に移し最初の牧区の草が放牧可能な草生状態に再生したときに元に戻すようにする。草の再生力の盛んな季節には,同一牧区に再放牧されるまでの間隔が短くなるから,牧区数や面積は少なくてよいことになる。牧区をくぎる柵には移設の可能な電気牧柵を使用することが多い。改良牧野を集約的に利用する放牧方法である。
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百科事典マイペディア 「輪換放牧」の意味・わかりやすい解説

輪換放牧【りんかんほうぼく】

輪牧とも。放牧地を区分し,一定期間ごとに順次牧区を変えながら家畜を放牧すること。普通行われている全期放牧では全地を春から秋まで開放するので,牧草回復生育を妨げ,荒廃を生みやすいが,輪換放牧では全区平均して計画的に利用され,荒廃も少ない。家畜の合理的飼養が可能だが,広面積を必要とする。
→関連項目放牧

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「輪換放牧」の意味・わかりやすい解説

輪換放牧
りんかんほうぼく
rotational grazing

放牧法の一種。放牧地を数個の牧区に区画し,草生に応じ順次1区ごとに放牧する方法。牧区面積は放牧頭数と草地の生産性によって異なるが,10aあたり年間4~5tの草生で乳牛5頭程度が適当とされる。この方法は平均的に全放牧地の草を利用し,家畜は常に若草を食べられるので栄養上もよい。普通,牧区あたりの放牧日数は3~10日間で輪換し,草生も維持される。

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世界大百科事典(旧版)内の輪換放牧の言及

【ウシ(牛)】より

…搾乳牛でもフリーバーンシステムといって運動場と追込式の休憩場をセットにした方式があり,管理の省力化に有効であるが,この場合には搾乳場の施設が必要である。 牧草地に放牧する場合にも,自然牧野に一年中放牧しておく〈牧牛(まきうし)〉のような粗放な形式から,牧草地を電気牧柵(ぼくさく)で4~8区にくぎり,草生の状態を見ながら1区ずつ順を追って放牧地を移していく輪換放牧のような集約的方式までいろいろある。 日常管理としては適度の運動と日光浴はウシの健康維持のために必要である。…

【放牧】より

…牧草を栽培した改良草地では,集約的な管理利用がなされるので全面採食の傾向が強く,選択採食による植生遷移より踏圧による影響のほうが大きい。 粗放な放牧方式としては一年中放牧しておく周年放牧(東北地方の牧(まきうし)はこの好例)があり,反対に集約的な放牧法としては,改良草地を小区画に分けて放牧する場所を順次移動していく輪換放牧がある。育成畜などの場合は,一定期間昼夜の別なく継続して放牧する昼夜放牧が行われるが,乳用家畜などでは搾乳をする必要があるので,1日のうちある時間帯を限って放牧地に放す時間制限放牧が用いられる。…

※「輪換放牧」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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