朝日日本歴史人物事典 「辻維岳」の解説
辻維岳
生年:文政6.7(1823)
幕末の安芸藩(広島県)藩士,明治政府の官僚。通称は将曹。嘉永6(1853)年のペリー来航直後に改革派を結成,文久2(1862)年,年寄役(執政職)に登用され藩政改革を推進。元治1(1864)年の第1次長州征討では幕長間の周旋に当たる。第2次長州征討に反対し慶応2(1866)年5月幕命により謹慎に処せられるが,ほどなく解除された。翌3年6月上洛,その意見に共鳴し後藤象二郎に次ぐ大政奉還運動の担い手となり,藩内の武力討幕論を抑え,10月6日大政奉還を勧告する建白書を提出。だが運動は挫折,王政復古で誕生の新政府では参与,次いで大津県知事などを歴任。明治13(1880)年同進社を設立し,旧藩士族の授産に当たる。同23年元老院議官,麝香間祗候。
(井上勲)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報