国指定史跡ガイド 「退蔵院庭園」の解説
たいぞういんていえん【退蔵院庭園】
京都府京都市右京区花園妙心寺町にある庭園。退蔵院は洛西に位置する大本山妙心寺(みょうしんじ)の塔頭(たっちゅう)の一つで、庭園は室町時代の枯山水の代表作であり、絵画的な庭として同じ室町期の大仙院(だいせんいん)庭園と並び称せられる。大仙院が中国的なのに対して、退蔵院がきわめて日本的なのは、多くの枯山水が主として著名な禅僧や造園家によるのに対し、わが国では珍しく狩野(かのう)派の絵師が作庭していることにある。元信(もとのぶ)の庭は方丈庭園で、室町時代の絵師で狩野派の祖である狩野元信の作といわれる優美な庭園で、枯れ滝や蓬莱山(ほうらいさん)、亀島と石橋など多数の庭石が豪快に組まれ、水が滝から大海に流れ込むまでの様子を、白砂によって表現している。上間の部屋から石庭を見ると「生きた襖絵(ふすまえ)」になるよう、絵画的で優美な工夫がほどこされた特異な枯山水庭園である。1931年(昭和6)に国の名勝・史跡に指定された。JR山陰本線花園駅から徒歩約10分。