透く(読み)スク

デジタル大辞泉 「透く」の意味・読み・例文・類語

す・く【透く】

[動カ五(四)]
すきまが生じる。「板戸の合わせ目が―・く」
物を通して、中や向こう側が見える。「川底まで―・いて見える」
物の間を通り抜ける。「木の間を―・いて光が漏れる」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「透く」の意味・読み・例文・類語

す・く【透・空】

  1. 〘 自動詞 カ行五(四) 〙
  2. [ 一 ] 空間的、または時間的に、すきが生じる。
    1. すきまができる。空間的な余裕ができる。
      1. [初出の実例]「能も不埋ければ、穴の底は透たる様にて」(出典:今昔物語集(1120頃か)二六)
    2. そなわっていたり、つまっていたりしたものが欠けてまばらになる。希少になる。
      1. [初出の実例]「歯はうちすきて、愛敬なげにいひなす女あり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)総角)
      2. 「空(ス)いたところへ行って腰掛けた」(出典:家(1910‐11)〈島崎藤村〉下)
    3. 肉がおちる。頬がたるむ。
      1. [初出の実例]「顔の上のひろさ程に頬も有を云ぞ〈略〉上へは広けれども頬がすいたれば悪ぞ」(出典:京大二十冊本毛詩抄(1535頃)四)
    4. 時間のあきができる。ひまになる。
      1. [初出の実例]「女中の手もすいたので或夕、大友は宿の娘のお正を占領して飲んで居たが」(出典:恋を恋する人(1907)〈国木田独歩〉二)
    5. 手抜かりがある。油断をする。
      1. [初出の実例]「観音信仰にはあらず是をすべき手だてさてもすかぬ男」(出典:浮世草子・日本永代蔵(1688)三)
      2. 「女の事と欲ばりにゃア五分も透(スカ)ねへ」(出典:滑稽本浮世床(1813‐23)二)
    6. つかえていたものがとれる。さっぱりする。
      1. [初出の実例]「晴れゆく雨の名残を見送るほど胸のすくものはなく」(出典:驟雨(1900)〈国木田独歩〉上)
    7. 空腹になる。
      1. [初出の実例]「田かへしになんまかれりけるに、れいよりも、げにすきいりぬべくおぼえければ」(出典:閑居友(1222頃)上)
      2. 「お前腹が減(ス)きはせんか」(出典:女難(1903)〈国木田独歩〉三)
  3. [ 二 ] ( 透 ) 物のすきまからとおる。
    1. 物をとおして見える。すける。
      1. [初出の実例]「今さへやすきて見ゆらん夏衣ぬぎもかふべき秋の暮には」(出典:宇津保物語(970‐999頃)内侍督)
      2. 「色はさをに白く美しげに、すきたるやうに見ゆる御膚つきなど」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)
    2. 物の間をとおる。
      1. [初出の実例]「風すくまじくひきわたしなどしたるに」(出典:更級日記(1059頃))

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