透額(読み)スキビタイ

デジタル大辞泉 「透額」の意味・読み・例文・類語

すき‐びたい〔‐びたひ〕【透(き)額】

冠の一。前額部の髪の生え際が透いて見えるように、黒のうすものに薄くを塗って作ったもの。近世では、頭上に当たる甲の前方月形の穴をあけ、羅を張ってその部分だけを透かした。元服後まもない15、16歳の男子が用いる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「透額」の意味・読み・例文・類語

すき‐びたい‥びたひ【透額】

  1. 〘 名詞 〙 冠の一種。磯(いそ)(冠の縁の名)から甲にかけて全体を黒羅でつくり、薄く漆を塗った冠。近世は甲の前方に月形の穴をあけ、羅を張ってその部分だけを透かした冠。元服後、一五、六歳前後の者が用いる。
    1. 透額〈源氏物語絵巻〉
      透額〈源氏物語絵巻〉
    2. [初出の実例]「しばしは、すきびたひの冠(かうぶり)にてとやおぼしけん」(出典:今鏡(1170)六)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の透額の言及

【冠】より

…平安時代末から鎌倉にかけて,その縁の高低によって厚額,薄額などの種類ができ,後者は多く年少者や賤官(せんかん)の者が用いた。また甲に半月形の透しを入れたものを透額(すきびたい),三日月形をなしたものを半透額といい,壮者の上気の洩れるためであるといわれた。平安時代中期に額充(ひたいあて)というものができ,多くこれを着けたが,後に額がかたく塗り固められるにいたって,従来の羅頭巾のなごりをとどめたものであったろう。…

※「透額」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

南海トラフ臨時情報

東海沖から九州沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)沿いで、巨大地震発生の可能性が相対的に高まった場合に気象庁が発表する。2019年に運用が始まった。想定震源域でマグニチュード(M)6・8以上の地震が...

南海トラフ臨時情報の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android