日本大百科全書(ニッポニカ) 「連分数」の意味・わかりやすい解説
連分数
れんぶんすう
分数のうち
という形式を連分数という。これを簡単に
と表す。有限で切れる連分数
は単に分数Pn/Qnに直せる。その列が一つの数ωに収束するとき、連分数は収束するといい、ωを連分数の値と称する。たとえば
である。とくにa0が整数、bnが1、anが自然数の場合を正則連分数という。前式の展開が正則連分数である。任意の無理数はただ一通りに正則連分数に展開され、逆に正則連分数はつねに収束して無理数を表す。の場合、分母に1と2が交互に表れるが、このように、あるところから先が循環する正則連分数を循環連分数という。無理数ωを表す正則連分数が循環連分数であるための必要十分条件は、ωが整数係数の二次方程式の解となることである。
正則連分数の近似分数Pn/Qnは
Pn+1=Pnan+Pn-1,
Qn+1=Qnan+Qn-1
(n≧1,P0=1,Q0=0)
という漸化式によって定まる。したがって
PnQn-1-Pn-1Qn=(-1)n
なる関係が成り立つ。これらの性質を用いて、連分数は不定方程式、ディオファントス近似、代数方程式の根(こん)の近似値などに有効に用いられる。たとえばa、bを整数として
ax-by=1, (a,b)=1
なる一次不定方程式を考える。a/bを正則有限連分数に展開して
とすると、
x0=(-1)m-1Qm-1,
y0=(-1)m-1Pm-1
によって一つの解が与えられる。他の解はすべて
x0+bt, y0+at (tは整数)
と表せる。
[足立恒雄]