連結素(読み)れんけつそ(その他表記)connecting factor; Anknüpfungsmoment

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「連結素」の意味・わかりやすい解説

連結素
れんけつそ
connecting factor; Anknüpfungsmoment

国際私法において,準拠法を決定するための媒介として用いられる要素連結点とも呼ばれる。一つの準拠法を選択すべきひとまとまりのものとされた法律関係を構成する要素のうちで,類型的にみて,当該法律関係に最も密接に関係する法秩序を選び出すことのできる要素が連結素とされる。その例としては,国籍常居所,行為地,所在地,原因事実発生地などの客観的な要素が一般的であるが,契約については当事者意思を連結素とすることによって当事者による準拠法の選択を認めている。一つの法律関係に一つの連結素が設定されるのが原則であるが,今日では複数の連結素を設定しておき,その組み合わせで準拠法を決定するという手法が多用されるようになっている (法例14など) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の連結素の言及

【国際私法】より

…この典型はハーグ国際私法会議で採択された〈生産物責任の準拠法に関する条約〉(1972年)であって,損害発生地法を原則的な基準としつつも,損害発生地,被害者の常居所地,生産者の主たる営業所所在地,生産物の取得地,という諸要素の組合せを考慮し,それらが特定の地域に集中・重複するときは,必ずしも事故発生地の法律に依らないことを定めている(4~6条)。連結素の集中しているところに問題の関係の重心がある,という考え方である。他方では,1989年に一部を改正した日本の法例にも〈最も密接な関係のある地〉の法律という一般的な基準が採用されており(新14条など),準拠法の選定基準に一般的・抽象的な標準を掲げるのが,各国における近時の国際私法立法の傾向である。…

※「連結素」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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