六訂版 家庭医学大全科 「遺伝性球状赤血球症」の解説
遺伝性球状赤血球症
いでんせいきゅうじょうせっけっきゅうしょう
Hereditary spherocytosis
(子どもの病気)
どんな病気か
正常では円盤状の形を保っている赤血球が、赤血球膜の異常のために球状に変形してしまうことにより本来の機能が低下し、壊れやすくなってしまう(
日本で発見される
原因は何か
赤血球膜の骨格をなす物質の遺伝的異常(バンド3やバンド4.2などの欠損)が原因であることが知られています。これらの蛋白質は赤血球の形態維持や変形機能に重要な役割を担っており、赤血球が壊れやすくなります。
症状の現れ方
主要な症状は貧血、
赤血球が壊されると黄疸として現れます。約30%で新生児黄疸が強く現れ、光線療法が必要になることがあります。重症の新生児黄疸の場合には交換輸血が必要な場合もあります。また、過剰なビリルビンのため胆石が出来やすくなります。
脾臓の腫大は乳幼児で50%、年長児で75~95%にみられます。かぜをひいた時(ほとんどはウイルス感染症)に、脾臓の機能が亢進し溶血が盛んになることがあります(溶血発作)。
検査と診断
なお、新生児期には形態、浸透圧抵抗ともに典型的な
治療の方法
無形成発作による急激な貧血の悪化や、新生児期の重度貧血などには赤血球輸血が必要になります。
赤血球は主に脾臓で壊されていますので、脾臓を摘出(
軽症例では青年期まで待機可能な場合もあります。脾摘後の感染症予防のため、脾摘前の肺炎球菌ワクチン接種と術後のペニシリン予防内服が推奨されています。小児期を過ぎれば、重症感染症の発生頻度は少なくなります。
病気に気づいたらどうする
重症例、中等症では骨髄での赤血球造血が盛んなので、
今井 千速
遺伝性球状赤血球症
いでんせいきゅうじょうせっけっきゅうしょう
Hereditary spherocytosis
(子どもの病気)
どんな病気か
原因は何か
赤血球膜の蛋白に異常があります。そのために、正常の赤血球のように中央がくぼんだ穴のあいていないドーナツ状の形を維持できずに、球状となってしまいます。基本的には
症状の現れ方
病的赤血球の破壊が亢進しても、その程度が軽ければ、
検査と診断
溶血の亢進と、代償性の赤血球系
造血亢進は、
溶血性疾患のうち先天性球状赤血球であることを診断するには、末梢血の赤血球像が必須です。顕微鏡で球状赤血球をみれば診断がつきます。補助的には食塩水
治療の方法
次に
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報