那珂西城跡(読み)なかさいじようあと

日本歴史地名大系 「那珂西城跡」の解説

那珂西城跡
なかさいじようあと

[現在地名]常北町那珂西

那珂川に臨む台地上に位置し、本城中城兵庫坪ひようごつぼの三郭からなる。本城は現在の宝幢ほうどう院境内、その南に中城、中城の西に兵庫坪がある。規模は東西五〇〇メートル・南北五〇〇メートル。大部分耕地となっているが、宝幢院境内に空堀と土塁が残り、戦国時代の面影を伝える。

従来この城は秀郷流藤原氏の那珂氏の本拠と伝えられてきたが、「吾妻鏡」などには大中臣姓の那珂氏一族が鎌倉御家人として活動している記事があり、この一族の本拠地の可能性が強い。鎌倉末から南北朝初期に成立と思われる大中臣氏略系図(京都府福知山市瘤木桐村家蔵)には実久について「上総中左衛門尉 右大将家御代ニ常州那珂東西両郡此外数ケ所給之又京都ノ守護職正治元正月上旬至承元三年ニ十一ケ年令知行之加之丹波摂津山城等守護人也」「承久三、二十七他界畢」とあり、その子時久については「那珂三郎左衛門尉」とみえる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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