丹波(読み)たんば

精選版 日本国語大辞典 「丹波」の意味・読み・例文・類語

たんば【丹波】

[1]
[一] 山陰道八か国の一つ。和銅六年(七一三)北部の五郡をさいて丹後国を分けた。鎌倉時代は六波羅探題が守護、南北朝時代は仁木・山名の両氏に次いで細川氏が守護となり、室町時代に至る。江戸時代は七藩に分立。明治四年(一八七一)廃藩置県後は京都府と豊岡県とに分かれ、同九年(一八七六)豊岡県の一部は京都府に、一部は兵庫県に編入された。たには。旦波。丹婆。
[二] 兵庫県中東部の地名。JR福知山線と加古川線が通じる。平成一六年(二〇〇四)市制。
[2] 〘名〙 「たんばやき(丹波焼)」の略。

たにわ たには【丹波】

[一] 山陰地方の一部の古称。丹波国・丹後国を指す。
[二] 丹波国の古称。
古事記(712)中「日子坐王は、旦波(たには)の国に遣はし」
[三] 丹後国の古郡名。のちの中郡。〔二十巻本和名抄(934頃)〕

たには【丹波】

たんば【丹波】

姓氏の一つ。

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デジタル大辞泉 「丹波」の意味・読み・例文・類語

たんば【丹波】

旧国名の一。大半は現在の京都府中部と兵庫県東部にまたがる地域。南東端が大阪府。古くは「たには」と称した。
兵庫県中東部、中国山地の東端の市。太平洋に注ぐ加古川と日本海に注ぐ竹田川(下流で由良川に合流)の源流域。平成16年(2004)11月に柏原かいばら町、氷上ひかみ町、青垣町春日町山南町市島町が合併して成立。人口6.8万(2010)。

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改訂新版 世界大百科事典 「丹波」の意味・わかりやすい解説

丹波[市] (たんば)

兵庫県中東部の市。2004年11月青垣(あおがき),市島(いちじま),柏原(かいばら),春日(かすが),山南(さんなん),氷上(ひかみ)の6町が合体して成立した。人口6万7757(2010)。

丹波市北西部の旧町。旧氷上郡所属。人口7401(2000)。加古川の最上流部にあたり,東は京都府と接する。山林が町域の大部分を占める山村で,中心集落の佐治は,かつては京街道の宿場町であったが,明治後期の国鉄(現JR)福知山線の開通でさびれた。米作を中心とした農業が主産業であるが,兼業化が進み,製造業従事者が多くなっている。丸太材の生産が盛んで,町営養魚場でのアマゴの生産・加工などにも力を入れている。紅葉の名所として知られる高源寺がある。

丹波市北東部の旧町。旧氷上郡所属。人口1万0172(2000)。京都府福知山市に接し,由良川支流竹田川の中流域にある。町域の多くを山林が占めるが,竹田川沿いに水田が開け,JR福知山線,国道175号線が走る。農業が主産業で,稲作が中心。山麓では花木,野菜の栽培も盛んである。畜産にも力が入れられている。特産品にマツタケや栗がある。古くから京都文化の影響を受けた地で,白毫寺,石像寺,神池寺などの古刹(こさつ)が多く,修験道で知られた神池寺周辺は県立自然公園に含まれ,観光地となっている。

丹波市中部南寄りの旧町。旧氷上郡所属。人口9947(2000)。加古川上流の柏原川流域にあり,東岸に市街地を形成する中心集落の柏原は石清水八幡宮の所領として開発され,江戸時代は織田氏2万石の陣屋町として栄えた。現在も陣屋跡の長屋門が残り,町並みもよく保存されている。明治以降も郡役所が置かれるなど,郡行政の中心地であった。農業は畜産と米作が中心となっている。また新井工業団地の造成などによって各種工業が立地している。平安時代に創建といわれる柏原八幡宮があり,天正年間(1573-92)再建の社殿は重要文化財に指定されている。東部の鐘ヶ坂公園は桜の名所として知られる。JR福知山線,国道176号線が通じる。

丹波市東部の旧町。旧氷上郡所属。人口1万2390(2000)。北東は京都府に接する。由良川支流竹田川の上流域にあり,川沿いに水田が広がるほかは山地が大部分を占める。中心集落はJR福知山線の駅のある黒井で,中世に赤松氏,赤井氏が拠った黒井城跡がある。稲作と酪農を中心とする農業が主産業で,丹波ナスの産地としても知られ,観光梨園などもある。舞鶴若狭自動車道の春日インターチェンジができ,京阪神方面との時間距離が大幅に短縮した。

丹波市南部の旧町。旧氷上郡所属。人口1万3653(2000)。加古川中流域にあり,町域の大部分を山林が占めるが,加古川上流佐治川と篠山(ささやま)川の合流点付近の低地には水田が広がる。中心集落は谷川で,JR福知山線とJR加古川線の交点にあたる。伝統的な地場産業として釣具,薬草,割りばし,檜皮(ひわだ)などの生産がある。工業団地が造成され,近代的な工場の立地も進んでいる。農業は米作のほか,花卉,花木の栽培が盛ん。県立薬草試験地や薬草薬樹公園もある。常勝寺,石龕(せきがん)寺など古刹(こさつ)も多い。

丹波市西部の旧町。旧氷上郡所属。人口1万9299(2000)。加古川上流の佐治川流域を占め,河川沿いに水田が広がり,周囲は山地に囲まれる。南東端をJR福知山線が走り,石生(いそう)駅付近の水分(みわかれ)橋は由良川と加古川の分水界にあたる。中心地の成松は中世から加古川水運の河港,市場町として発達した。稲作を中心に酪農,養鶏,園芸なども加えた農業が行われている。衣服縫製や電気機械などの工場があり,就業者も多い。
執筆者:

丹波(京都) (たんば)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「丹波」の意味・わかりやすい解説

丹波
たんば

京都府中西部、船井郡(ふないぐん)にあった旧町名(丹波町(ちょう))。現在は船井郡京丹波町(きょうたんばちょう)の南東端を占める一地区。旧丹波町は1955年(昭和30)須知(しゅうち)町と高原(たかはら)村が合併して成立。2005年(平成17)瑞穂(みずほ)町、和知(わち)町と合併し、京丹波町となる。丹波高原の中央に位置し、中心地区の須知は丹波、丹後と京阪を結ぶ交通の要地で宿場町として栄えた。現在もJR山陰本線が北端を通過するほか、国道9号と27号が交差する。1996年京都縦貫自動車道の丹波町、京都市間が開通した。山地が多く、農業と林業が主で、畜産、酪農も行われる。国指定重要文化財に九手(くて)神社本殿、大福光(だいふくこう)寺本堂と多宝塔、渡辺家住宅などがある。蒲生(こも)地区には府立丹波自然運動公園が開設された。

[織田武雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「丹波」の意味・わかりやすい解説

丹波
たんば

京都府中部,京丹波町南東部の旧町域。丹波山地にあり,日本海側と太平洋側の分水界付近に位置する。 1955年須知町と高原村が合体して丹波町が発足。 2005年瑞穂町,和知町と合体して京丹波町となった。中心地区の須知はかつて山陰道の宿場町として繁栄。農林業が主産業で,米作のほか,酪農,和牛飼育,養鶏,養豚なども行なわれる。丹波まつたけ,クリを特産。京都府開庁 100年を記念して 1970年に開園した丹波自然運動公園,国指定重要文化財の九手神社本殿などがある。

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