部分平衡の原理(読み)ぶぶんへいこうのげんり(その他表記)principle of partial equilibrium

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「部分平衡の原理」の意味・わかりやすい解説

部分平衡の原理
ぶぶんへいこうのげんり
principle of partial equilibrium

(1) 局所平衡の原理ともいう。非平衡状態にある系を取扱う1つの方法として,系のなかに,十分に小さいが,なおマクロな量を定義できる程度には大きい領域を考えたとき,熱平衡状態でのみ存在する熱力学的な関数がこの領域でも存在するという仮定部分平衡の原理と呼ぶ。容易に証明できる事柄ではないので,先験的な原理のように扱われる。
(2) ほとんどの化学反応は,いくつかの単純な反応段階 (素反応) の組合せで全体の反応を形成している。これらの素反応のうちで最も反応速度の遅い段階を律速段階といい,この段階が全体の反応速度を決める。律速段階に比べて他の素反応はいずれも反応速度が速く,したがって一時的に平衡状態を保っているとみなされる。このような平衡状態を部分平衡といい,この原理を考えることにより反応機構解釈が容易になる。

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