改訂新版 世界大百科事典 「鄭鑑録」の意味・わかりやすい解説 鄭鑑録 (ていかんろく) 朝鮮の李朝中期以降,民間に流布した予言書。易姓革命による李氏王朝の滅亡を説く。成立の由来は不詳で,さまざまな異書が存在するが,李氏の祖先である李湛と鄭氏の祖先鄭鑑という2人の人物の問答の形式をとって,漢陽(ソウル)に都する李朝が数百年続いたあと鶏竜山の鄭氏王朝がこれに代わるとし,その間におこる災難や禍変などを予言している。李朝政府は禁書として取り締まったが,圧政に対する民衆の願望を代弁する性格をも持っており,容易に根絶しえなかった。李朝末期の民衆宗教東学にも少なからぬ影響を与えている。執筆者:吉野 誠 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報 Sponserd by