酒井雲(読み)サカイ クモ

新撰 芸能人物事典 明治~平成 「酒井雲」の解説

酒井 雲
サカイ クモ


職業
浪曲師

本名
酒井 武光

別名
旧名=酒井 玉之助

生年月日
明治31年 12月6日

出生地
岐阜県 岐阜市長良町

経歴
豆腐屋の売り子だった13歳の時、声のよさを見込まれ桃中軒雲右衛門の弟子となり、玉水と名乗った。師匠没後、独習しながら酒井雲と改名既成の台本以外、文芸浪曲と銘打って多くの作品を残した。18番は「坂崎出羽守」「恩讐彼方へ」「地震加藤」「駕籠幽霊」「本能寺」「景清」「桐一葉」「雪の渡り鳥」「瞼の母」「小猿七之助」と幅広く、三尺もの、金襖もの、人情ものと、いい声でなんでもこなした。

受賞
勲四等瑞宝章〔昭和45年〕 NHK放送文化賞〔昭和46年〕

没年月日
昭和48年 11月10日 (1973年)

出典 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治~平成」(2010年刊)新撰 芸能人物事典 明治~平成について 情報

20世紀日本人名事典 「酒井雲」の解説

酒井 雲
サカイ クモ

大正・昭和期の浪曲家



生年
明治31(1898)年12月6日

没年
昭和48(1973)年11月10日

出生地
岐阜市長良町

本名
酒井 武光

別名
旧名=酒井 玉之助

主な受賞名〔年〕
勲四等瑞宝章〔昭和45年〕,NHK放送文化賞〔昭和46年〕

経歴
豆腐屋の売り子だった13歳の時、声のよさを見込まれ桃中軒雲右衛門の弟子となり、玉水と名乗った。師匠没後、独習しながら酒井雲と改名。既成の台本以外、文芸浪曲と銘打って多くの作品を残した。18番は「坂崎出羽守」「恩讐の彼方へ」「地震加藤」「駕籠幽霊」「本能寺」「景清」「桐一葉」「雪の渡り鳥」「瞼の母」「小猿七之助」と幅広く、三尺もの、金襖もの、人情ものと、なんでもこなした。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「酒井雲」の解説

酒井雲 さかい-くも

1898-1973 大正-昭和時代の浪曲師。
明治31年12月6日生まれ。初代桃中軒雲右衛門の弟子となり,桃風を名のる。雲右衛門の没後,酒井玉水,ついで雲と改名。文芸浪曲と銘うち,「恩讐(おんしゅう)の彼方に」などをのこした。戦後ラジオでも活躍し,昭和46年NHK放送文化賞。弟子にのちの村田英雄がいた。昭和48年11月10日死去。74歳。岐阜県出身。本名は武光。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の酒井雲の言及

【浪花節】より

… このように各派に名手が輩出して全国に流行した浪花節も,大正中期以後,落語,講談とともに映画の進出に圧倒されて衰退の傾向をたどっていたが,昭和時代にはいって,満州事変以後,太平洋戦争にかけて,国家主義的な時代風潮を背景にして,ふたたび隆盛の様相を呈した。この時期には,《壺坂霊験記(つぼさかれいげんき)》の浪花亭綾太郎(1893‐1960),《佐渡情話》の寿々木米若(すずきよねわか),《天保水滸伝(すいこでん)》の2代玉川勝太郎,《清水次郎長伝》の2代広沢虎造,《紀伊国屋(きのくにや)文左衛門》の梅中軒鶯童(ばいちゆうけんおうどう),《赤城の子守唄》の春日井梅鶯(ばいおう)(1908‐74),《義士伝》の3代吉田奈良丸,《恩讐(おんしゆう)の彼方に》をはじめとする文芸浪曲の酒井雲(さかいくも)(1899‐1973),《唄入り観音経》の三門博(みかどひろし)(1907‐ ),《野狐三次(のぎつねさんじ)》の東家浦太郎(1919‐ ),《灰神楽(はいかぐら)三太郎》の相模(さがみ)太郎(1899‐1972),七色の声を使い分けた女流浪曲の雄2代天中軒雲月(伊丹秀子(いたみひでこ))など多くの人気者があらわれ,レコード,ラジオの普及,〈浪曲映画〉による映画とのタイアップなどによって,それ以前にも見られなかったほどに浪花節が大衆のなかに浸透していった。
[戦後の浪曲界]
 第2次大戦後は,軍事物や義士物など封建的演題への反動によって不振をきわめていたが,しだいに復活して,浅草国際劇場や明治座などの大劇場において浪曲大会を開催したこともあり,民間放送発足以来,大衆芸能の主要な種目としての座を獲得し,浪曲台本の専門作家も多く見られるようになり,一方,〈浪曲天狗道場〉のようなラジオ聴取者参加番組も製作された。…

※「酒井雲」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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