日本大百科全書(ニッポニカ) 「過酸化ナトリウム」の意味・わかりやすい解説
過酸化ナトリウム
かさんかなとりうむ
sodium peroxide
ナトリウムと酸素の化合物の一つ。過酸化ソーダともいう。金属ナトリウムをアルミニウム製の皿の上に置き、二酸化炭素を含まない乾燥空気を送って300~400℃で燃焼させると、無水物が製造される。また、氷冷した水酸化ナトリウム水溶液に過酸化水素を加えることによって、八水和物(式量222.1、融点30℃)が得られる。無水物は淡黄色粉末、八水和物は無色の六方晶系の結晶である。いずれも水に容易に溶け、水酸化ナトリウムと過酸化水素とになるが、常温以上では過酸化水素が分解して酸素を発生する。強い酸化剤であり、二酸化炭素を吸収して炭酸ナトリウムと酸素を、また一酸化炭素と反応して炭酸ナトリウムを生ずる。溶融物は金、ニッケル以外の各種の金属を侵し酸化する。有機物と混合すれば発火または爆発する。動植物性繊維、骨などの漂白、難溶性物質の融解処理などに使用されるほか、過酸化物の製造原料ともなる。
[鳥居泰男]