過酸化ナトリウム(読み)かさんかなとりうむ(英語表記)sodium peroxide

日本大百科全書(ニッポニカ) 「過酸化ナトリウム」の意味・わかりやすい解説

過酸化ナトリウム
かさんかなとりうむ
sodium peroxide

ナトリウム酸素化合物の一つ。過酸化ソーダともいう。金属ナトリウムをアルミニウム製の皿の上に置き、二酸化炭素を含まない乾燥空気を送って300~400℃で燃焼させると、無水物が製造される。また、氷冷した水酸化ナトリウム水溶液に過酸化水素を加えることによって、八水和物(式量222.1、融点30℃)が得られる。無水物は淡黄色粉末、八水和物は無色の六方晶系の結晶である。いずれも水に容易に溶け、水酸化ナトリウムと過酸化水素とになるが、常温以上では過酸化水素が分解して酸素を発生する。強い酸化剤であり、二酸化炭素を吸収して炭酸ナトリウムと酸素を、また一酸化炭素と反応して炭酸ナトリウムを生ずる。溶融物は金、ニッケル以外の各種の金属を侵し酸化する。有機物と混合すれば発火または爆発する。動植物性繊維、骨などの漂白、難溶性物質の融解処理などに使用されるほか、過酸化物の製造原料ともなる。

[鳥居泰男]


過酸化ナトリウム(データノート)
かさんかなとりうむでーたのーと

過酸化ナトリウム
分子式Na2O2
式量78.0
融点460℃
沸点
比重2.805
分解点657℃

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「過酸化ナトリウム」の意味・わかりやすい解説

過酸化ナトリウム
かさんかナトリウム
sodium peroxide

化学式 Na2O2 。黄白色の粒状あるいは粉末状物質。空気中から水および二酸化炭素を吸収する。水とは激しく反応して酸素を発生し,水酸化ナトリウムとなる。有機物や酸化性物質と触れると爆発し危険である。動・植物繊維,皮,骨,象牙,木,ワックスサンゴなどの漂白に,また潜水艦などで二酸化炭素を多量に含む空気や病室の空気の浄化染色化学分析などに使われる。

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