日本大百科全書(ニッポニカ) 「硝酸ナトリウム」の意味・わかりやすい解説
硝酸ナトリウム
しょうさんなとりうむ
sodium nitrate
ナトリウムの硝酸塩。硝酸ソーダともいわれる。天然には南アメリカの太平洋沿岸地帯にチリ硝石として産出する。以前はこれを直接または精製のうえ使用していたが、今日では硝酸と水酸化ナトリウム(または炭酸ナトリウム)との中和反応によって製造されたものが主流となっている。無色の結晶。吸湿性があり、常温でも水によく溶けるが、温度の上昇とともに溶解度は著しく増大する。加熱すると酸素を放出して亜硝酸ナトリウムとなる。
800℃以上になると急速に酸化物に分解する。
強力な酸化剤で、消防法危険物第1類に属し、有機物とともに強熱すれば爆発する。天然品は主として肥料に用いられる。合成品は、ガラスの消泡剤や融点降下剤、金属焼入れの熱処理剤、火薬の製造、食品添加剤(発色剤)、医薬などに使用される。
[鳥居泰男]