酸塩基触媒作用(読み)サンエンキショクバイサヨウ

化学辞典 第2版 「酸塩基触媒作用」の解説

酸塩基触媒作用
サンエンキショクバイサヨウ
acid-base catalysis

酸および塩基による触媒作用.液相反応においては,水素イオンおよび水酸化物イオンの作用がもっともいちじるしいが,ブレンステッド酸ルイス酸およびそれらの塩基など,広義の酸および塩基による作用も含まれる.また,固体表面に存在する酸性点,あるいは塩基性点の行う触媒作用も見いだされている.エステルの希薄水溶液中の加水分解などでは,無触媒反応のほか,水素イオンおよび水酸化物イオンの触媒作用が大きく,速度は主として,

v = {k0kH[H] + kOH[OH]}・[エステル]

で表される.ここで,kH および kOH をそれぞれ水素イオンおよび水酸化物イオンの触媒係数という.反応が主として水素イオンに依存する領域では,反応速度の対数は pH に対して-45°の傾きをもつ直線にそって変化し,水酸化物イオンの触媒作用が支配する範囲では,pH に対して+45°の傾きをもつ直線に平行になる.強酸および強塩基による触媒作用は,中性塩の添加によってイオン強度がかわるために影響を受け(第一中性塩効果),また弱酸,弱塩基では解離度が変化し,水素イオンや水酸化物イオンの濃度を変化させることが見いだされている(第二中性塩効果).[別用語参照]塩効果

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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