重合触媒(読み)ジュウゴウショクバイ

化学辞典 第2版 「重合触媒」の解説

重合触媒
ジュウゴウショクバイ
polymerization catalyst

重合反応を開始させたり,促進させる触媒を重合触媒という.一般のラジカル重合イオン重合では,容易にフリーラジカルあるいはイオンを発生して,連鎖反応による重合を開始させることのできる物質が使用されるので,これらの物質を重合触媒とよぶよりも重合開始剤とよぶことが多い.重合触媒としては,上記のように重合連鎖の伝達体がフリーラジカルになるか,イオンになるかにより,ラジカル重合触媒,イオン重合触媒に分けられ,また後者は,イオンがカチオンであるかアニオンであるかによって,カチオン重合触媒,アニオン重合触媒に分けられる.イオン重合では,つねに成長末端イオンの対イオンが存在し,このイオン間の相互作用の強弱溶媒和の多少,対イオンと単量体との相互作用などが,その重合反応の速度や生成重合体の立体規則性に大きな影響を与える.対イオンと単量体との相互作用が強く,なんらかの形で単量体が対イオンに配位した後に成長反応に入ると考えられるような重合は配位重合とよばれ,このような重合反応を起こす触媒を配位重合触媒という.触媒が重合系中で可溶であるか,不溶であるかによって,均一系触媒および不均一系触媒とに分ける分類もある.チーグラー-ナッタ触媒は,不均一系の配位重合触媒の代表的なものである.これらの重合は,一般に液相で行われることが多いが,エテンやプロペンでは,シリカアルミナなどの適当な担体に遷移金属化合物を担持した固体触媒を使用し,気相で重合を行う方法もあり,近年注目されている.縮合重合においても触媒が用いられる.たとえば,二価アルコールと二塩基酸からのポリエステルの生成反応では,強酸が触媒となるが,強酸を添加しないときには,単量体である二塩基酸が触媒となる.また,ε-カプロラクタム開環重合では,少量の水,酸,塩基あるいはその塩などが重合触媒となる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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