有機単量体の開環と重合の両反応を組み合わせていっしょに行い、環状の単量体から鎖状の重合体(高分子化合物)を得る反応をいう。付加重合の一形式とみなすことができる。
開環重合は、多くの場合、比較的長寿命の陰イオンまたは陽イオンを生長活性種として進行する。一般に、ヘテロ原子(炭素以外の環を構成する原子)を環内にもつ複素環式化合物(環構成原子として炭素以外の原子を含む環式化合物)のほうが炭素環式化合物に比べて開環重合をおこしやすい。環内に酸素、窒素、硫黄などのヘテロ原子(X)をもつ化合物でそのC-X結合(X=O,N,S)が切断して鎖状の陰イオンまたは陽イオンになるのが開環重合の始まりである。したがって、3員環、4員環のように環に歪(ひずみ)があって開環反応をおこしやすい化合物のほうが、安定な6員環化合物に比べると、開環重合をおこしやすい。このような理由から、環内に酸素を含む3員環のオキシラン(エチレンオキシド)、4員環のオキセタン、環内に窒素原子を含む3員環のアジリジン(エチレンイミン)は開環重合をおこしやすい。オキシランやアジリジンは工業的にエポキシ樹脂、接着剤、硬化剤などに使われている。酸素5員環のテトラヒドロフランも開環重合をするが反応性は低く、可逆反応であり高分子量になりにくい。
ラクタム(環式アミド)は加水分解その他の反応により容易に開環するので、大きい環(4員環以上)をもつ化合物でも開環重合がおこり、6員環を除く4員環(最小のラクタム環)から9員環のラクタムで開環重合が知られている。7員環アミドであるカプロラクタムの開環重合はナイロンの製造に利用されていて、工業的に重要である。
[廣田 穰]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…重合は一般にモノマーの間に共有結合が生じることによって起こり,そのような変化が起こる反応を重合反応という。重合反応には,付加重合,縮合重合,重付加,開環重合,付加縮合などがある。
【付加重合addition polymerization】
付加重合反応を行うモノマーは,それ自身で互いに付加しうるような反応性の基をもつ化合物で,不飽和結合,とくに炭素‐炭素二重結合をもつ化合物がその代表である。…
※「開環重合」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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